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◆JUNK7

JUNKには、ブログなどで勢いのままに書きなぐった小ネタが5話ずつ格納されています。
たまにこっそり加筆したり訂正したり。↑OLD↓NEW


◆永遠の戦場…(ゲーム版悪サガ&ロス兄バトル)

 目の前の出来事が信じられなかった。
 十二宮を抜けて私の目の前に現れたのは、サガの姿をした邪悪なる存在だった。

 彼は私の放った黄金の矢を光速の動きで躱し、小宇宙を徐々に高めていく。13年前の対峙では女神の無事を優先したため、彼の力の全てを見ることは敵わなかったが、いまこうして敵として向かい合うと、その戦闘能力の凄まじさが伝わってくる。まるで桁違いだ。
 彼はこともなげにサガの技であるギャラクシアンエクスプロージョンを連発した。その姿はまさに戦神アーレスそのものだった。

 だが、ここへ来るまでの間に、大勢の聖闘士や冥闘士たちが行く手を阻んだのだろう。サガの顔には僅かに疲労の色が浮かんでいる。おそらく体力は万全である状態の半分ほどに削られているはずだ。勝機があるとすれば、そこを衝くしかない。

 わざとアナザーディメンションを誘い、直後の硬直を狙って間近から必殺の一撃を叩き込む。さすがに耐え切れずに、彼の身体が沈んでいった。全小宇宙を注ぎ込んだ射手座のアトミックサンダーボルトを食らって、立てる人間が居るとは思えない。
 ようやく戦いが終わるかと安堵しかけた私は、その後の出来事に驚愕で言葉をなくした。

 サガの身体を、女神の小宇宙が包み込み、癒していく…!?

 どういうことなのだろう。このサガは女神に刃を向けた反逆者ではないのか!?
 思わず後ずさった私は、女神の力により急激に高まったサガの小宇宙で吹き飛ばされた。逆に膝をついた私の前に、紅い邪眼を持つサガが立ちふさがる。
「勝つのは私だ、アイオロス」
 その容貌は一瞬だけ、かつて友であったサガの穏やかさを見せる。
「ギャラクシアンエクスプロージョン!」
 銀河も砕けよと炸裂するエネルギーの大渦の前では、もうなすすべもなかった。

 倒れ伏し、薄れそうになる意識を懸命に保っている私の側へ、私の知らないサガが歩いてくる。
 顔を上げる事もままならぬ私に、彼の表情は見えない。
 ただ嘲るような声が、天から降ってきた。
「アイオロス。女神は私を認めたのだ…私が地上の支配者たることを」
 馬鹿な、と呟くもそれは嗄れて声にならない。

「私に仕える栄誉を、お前に与えよう」
 ゆっくりと彼の手が下りてきた。幻朧魔皇拳だと気づいた時に、私の意識は途切れた。


2007/3/13 ハーデス十二宮編ゲーム:悪サガ使用でロス兄さんGETした記念(>▽<)

◆ホワイトデー…(双子+テティス)

 バレンタインに山のような贈り物を受けた双児宮の双子は、そのお礼を返すのに四苦八苦しておりました。贈る方は二人分用意すればいいだけですが、サガとカノンはなまじモテるだけに、何十人に返していいのか判らない状態なのです。

 また、お返しの対象の広さが二人を悩ませました。
 サガは老若男女とわず親愛の対象となっているため、村のお年寄りによる感謝の花束から、無邪気な子供によるキャンデーボックスにいたるまで、ほぼオールジャンルの人間から満遍なくプレゼントを受け取っています。
 カノンは人外にまでモテるため、海神から翼竜、はては魚やら海の魔物まで物を寄越しています。
 お返し相手には、女神など目上の存在も含まれるため、とても一括で適当にマシュマロでも買って返せばいいかという状況ではないのです。

 そういった他人との交流行事に慣れていないサガとカノンは、お返しリストを作らねばならないと考えただけでぐったりしておりました。誰にどれくらいのものを返して良いのかも、サッパリ判らないのです。皆からのプレゼントがとても嬉しかっただけに、お返しはきちんとしたいと気ばかりが焦ります。

「カノン…お前なら、こういう世俗の風習に関して詳しいだろう」
「冗談いうな。オレは他人に物を贈ったり贈られたりしたことなどない。サガ、お前こそ教皇してたんだろう?組織のトップなんて、物品贈与が日常茶飯事の世界なんじゃないのか」
「教皇は贈っておけと命じるだけで、そういう些事を実際にこなすのは下位の事務官たちなのだ」
「チッ…使えない元教皇だな…」
「お前に言われたくは無い。お前こそ海界では筆頭海将軍をしていたのだろう。金品を受けたり、それへの礼品を返す機会はなかったのか」
「あー…そういや、そういうのはテティスなんかに任せてたな」
「テティス?」
「海界の人魚姫さ。そういう組織の総務的な切り盛りをさせたら、右に出るものはないぜ」
「ほう…有能な配下がいるのだな…それは…」
 サガが何かを言いかけて口篭りました。カノンが怪訝そうに兄を見て先を促します。
「何だよ、言いかけたら最後まで言えよ、気持ち悪いな」
「いやその…私が言うのは少々躊躇われるものが…」
「だから、何だよ」
 弟に急かされて、サガはぼそりと言いました。
「その者に…この作業を手伝って貰えまいか」
 サガのアイデアに、カノンは顔を輝かせました。しかもテティスは女性で、こういったイベントには詳しそうです。
「おお!融通の利かないサガにしちゃ、いい案じゃないか。さっそくオレの権限で呼びつけよう」
「ま、まて!海将軍筆頭として呼びつけるのは公私混同だ。個人的に頼んでくれ!」
「…そんな建前並べたって、頼むのは同じだろうに」
「私の中では全く異なるのだ」
「はいはい」

 テティスもバレンタインには贈り物をしてくれています。
 その本人に自分のお返しを選ばせるという事に関しては、気にしないところが双子らしいと言えましょう。いえ、サガの方はちょっぴり気にしていたのですが、フォローは彼女の上司であるカノンがするだろうと、図々しく自分を納得させて誤魔化しました。それくらい困っていたとも言えますが、聖戦後はいくぶん図太くなっているサガでした。

 もっとも、呼びつけられたテティスの方も魚だけあって、そういった機敏のなさは全く気にしませんでした。それどころかカノンに『お前は特別に、金額を気にせず好きなものを3つ選んでいい』と言われて大喜びです。

 人魚姫は手際よくリストを作ると、相手の立場や親密度その他を考慮しつつ品物購入の手配を行い、カードまで付けて各方面へ届けられるよう処理しました。サガは来年のために、きちんとその手順と内容を記憶に叩き込みましたし、カノンは来年以降はこの作業を兄に押し付ける決意を固めています。
 見る間に片付いていく様子を見て、双子は胸をなでおろしました。

 ひととおり終わった頃合を見計らい、二人はテティスに感謝して心より礼を述べました。
「助かったぞテティス。海界から呼び出してすまなかったな」
「私たちに力を貸してくれてありがとう。君のお陰で全て片付いたよ」
 そんな二人をみて、テティスはにこりと笑いました。
「全てではありません。お二人の分は処理をしておりませんので」
 言われて双子は顔を見合わせました。そういえば、サガもカノンもお互いへのお返しをまだ用意していません。
 サガがぼそぼそ照れたようにカノンに尋ねます。
「人魚姫を海界に送りがてら…どこか二人で食事にでも行くか?」
 カノンもテティスの手前、ぶっきらぼうに答えました。
「あ、ああ。そうだな。どこか美味い店があれば良いのだが」
「私は、聖域外にはあまり詳しくなく…」
 そんな二人の前へ、テティスはアテネ市内グルメマップを差し出します。
「私は一人で戻れますのでお気遣いなさらずに。お返しに頂いた服とティアラとお徳用釣り餌サイマキ一袋、ありがとうございました」
 仕事においては可愛くて有能なOL系テティスは、アフターケアまで万全なのでした。
 テティスが魚である事を知らぬサガは、サイマキというのが何であるかさっぱりわかりませんでしたが、改めて感謝の礼を述べ、カノンと共に暖かな夜を過ごしたのでした。


2007/3/14
◆四月馬鹿…(1日限定で闘士派遣CGIによりランダムにキャラ配布をした時の案内です)

カノン「サガ、聞いたか」
サガ「何だカノン」
カノン「女神の発令で、聖闘士は今日1日奉仕活動に務めよとのお達しだ」
サガ「…ああ、あれか。しかし聖闘士が一体何の役に立つのだ」
カノン「オレは役に立つぞ。家事も、力仕事も、舌先三寸での詐欺もバッチリだ」
サガ「詐欺はやめなさい。他界からも人材が来るそうなので、聖域の恥とならぬよう」
カノン「サガこそ聖域外での奉仕活動なんて出来るのかよ」
サガ「慰問ならば得意だ」
カノン「慰問で具体的になにをするのだ」
サガ「死にそうな人を看取ったり…」
カノン「縁起でもねえよ!」
アイオロス「聖闘士同士でも、引き当てた人に奉仕してもらえるらしいよ」
カノン「うわ、突然沸くなよ」
アイオロス「私はサガに奉仕して欲しいなあ」
カノン「お前が言うと、いきなり奉仕の意味が変わる感じだ!」
サガ「アイオロスには借りがあるゆえ…いつでも奉仕は構わないよ」
アイオロス「本当かサガ!?(ぱああっと明るい笑顔)」
サガ「(負けぬ笑顔で)アイオロス、今日は四月馬鹿だ」


2007/4/1
◆陰影…(日陰カノンを陰間カノンと読んでしまわれたという、素敵拍手コメントより発生)

サガ「陰間カノンか…お前に客商売が勤まるとは思えないのだが…」
カノン「客商売でも水商売でもいいが、インマならオレよりサガだろう。淫魔だし」
サガ「兄を捕まえて淫魔呼ばわりとは良い根性だな。大体、陰間はカゲマと読むのだ!今から私が夜を徹して日本語教育をしてやろうか」
カノン「フン、逆にオレが水商売勤まらないかどうか、夜を徹して兄さんに教えてやろうか」
サガ「う…それは遠慮しておく」


2007/4/12

◆呼吸法…(カノ×サガ&シュラ×黒)

 聖戦後にサガはカノンと一緒に暮らすようになりました。

 サガは傍目から見てもそれはそれは嬉しそうです。カノンが改心した事によって弟に対する心痛が無くなったため、ベタ甘なくらい世話を焼きまくっていました。
 自分と対等な立場で話せる相手が傍に居てくれるようになったという意味でも、カノンの存在はサガの心を和ませます。なにせ13年間のサガは偽教皇としてほとんど誰にも心を許す事は出来ませんでしたし、時折話をするシュラやアフロディーテ、そしてデスマスクは配下としての節を曲げなかったため、少なくとも同じ目線の高さでは会話することが叶わなかったのです。

 離れていた年月の溝を埋めようと、サガはいろんな事をカノンに聞きましたし、聖域での出来事を弟に語りもしました。
 カノンはそんな兄の態度を口では「うぜえな」などと言いながら満更でもなさそうです。
 そのうち本当にサガの関心が自分に向いている事が判ると、彼の方も兄に対する態度が変わり始めました。今までの反動か、兄に対する支配欲が率直に現れるようになったのです。

「カノン、海界ではどのように暮らしていたのだ?冥界とまではゆかぬだろうが、ポセイドンの治める地も異界には違い有るまい」
「ああ、海神の加護によって海底の異相に居住可能な場所がいくつもあるのだ。聖域の海バージョンみたいなものだな。そこでの暮らしは地上とそう変わらん」
「海の底であるのに呼吸がかなうというのも、不思議なものだ」
「マリーナたちも元は地上の人間だからな。神域の波動に慣れなくて、初めのうちは上手く呼吸の出来ぬものも出る」
「それは大変だろう。そのような時にはどうするのだ。携帯酸素でも常備しているのか?」
「いや、もっと簡単な方法があるのさ。人工呼吸というな…こういう風に」

 カノンは兄の顔を引き寄せると、唇を重ねました。サガは真っ赤になりましたが、尋ねたのは自分であり、弟は単に質問へ答えてくれただけだと思うと、赤くなった自分の方が間違っている気もするので抗議出来ません。
 存分にマウス・トゥ・マウスを堪能したカノンを、それでもサガは軽く睨みました。

「人工呼吸に舌を入れる必要はない気がするのだが…」
「あー、それは相手が気を失ったりしているときは、舌が気道を塞いでいるとまずいからな。こちらも舌を差し込んでの確認が必要なんだ」
「そ、そういうものなのか…」

 弟に対して疑う事をしなくなったサガ相手に、カノンはアレな大嘘を付き放題です。
 そして、そんな嘘のおこぼれを二人の知らぬところであずかる人間もおりました。


 シュラが勅命先の土産を持って双児宮を尋ねてくると、黒サガがそれを出迎えました。シュラが尋ねてくる時は、比較的黒サガに出会える確率が高いような気がします。
 山羊座の手渡した土産を受け取りつつ、黒サガはもう一人の自分がカノンから聞いたという話を伝えました。
「シュラ、今日は海界での人工呼吸の仕方とやらを教わった」
「………はあ」
「このようにするらしい」
「───!」
 役得なのか不幸なのかよくわかりませんが、シュラは黒サガに突っ込む勇気はありませんでした。真っ赤になって口元を押さえ、それは溺れてもいない相手に行わない方が良いのではと進言するのが限界です。

 しかし常識人の悲しさで、カノンに釘を刺しておかなければという事だけは決意しています。サガが席を外した隙に双子座の弟を探すと、幸い隣の自室にいたので直ぐ見つかりました。

「カノン!あまりサガにデタラメを教えるのは…!」
 突然部屋に乱入された上、抗議を受けたカノンは意味が判らずキョトンとしておりましたが、要領を得ぬシュラの説明を聞くうちに不機嫌そうな顔になっていきます。
「てめえ、惚気にきたのか?」
「いやそうではなく、サガをあまり騙すなと…」
「ニブい白サガならともかく、黒い方のあれが騙されるわけないだろう」
「は?」
「ニブいのはお前もかよ!とにかくオレは感謝されこそすれ、文句言われる覚えはねえな!」

 取り付くしまもありません。

 ただ、今後は嘘をつく事はしないと約束はしてくれました。カノン曰く「トンビに油揚げなのは悔しい」「正攻法で行く」とのことですが、シュラにはちっとも意味がわかりません。
 首を捻りつつも、とりあえず安心したような残念なような気持ちで黒サガの元へと戻るのでした。


2007/4/17
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