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◆2012-JUNK5

JUNKには、ブログなどで勢いのままに書きなぐった小ネタが5話ずつ格納されています。たまにこっそり加筆したり訂正したり。↑OLD↓NEW


◆海界模範試合…(双子の模擬戦)


 ひゅん、と拳が空を切り裂く音がする。カノンの繰り出した右ストレートだ。サガがその拳を左の手のひらで受けた一瞬あとに、ぱあんと拳が叩き付けられた際の衝撃音が遅れて聞こえてきた。
 もっともその音が聞こえているのは、同じ結界内にいる海将軍だけだ。一般海闘士は安全のため、結界を張った闘技場の周囲の観覧席にいる。観覧席は超満員だ。めったにみられぬ黄金聖闘士と海将軍筆頭の模範試合、しかもその黄金聖闘士は筆頭の兄となれば、闘士ならば絶対に見逃せないと思うだろう。実際、あまりの人気に席が足りず抽選制となったほどだ(会場に入れなかった海闘士のために、記録用のビデオカメラまでまわされていた)。
「まさか皆の面前で、おまえと二人こうして手合わせ出来るとは」
 サガは嬉しそうだ。デモンストレーション的な意味合いの濃い試合なので、互いに繰り出す技は派手なものの、双子の戦闘レベルからいけば気軽な立会いのようなものである。軽口をたたく余裕は充分にあった。
「隠れて二人で稽古はしていたが、見られながらというのはまた、空気が違うな」
 カノンもまた楽しそうだった。双子座の片割れを秘していた過去において、稽古も当然のことながら秘密裏に行われた。二人揃って光の下に並ぶなんて、当時は予想だにしていない。
 しかし、二人の喜びは公私の区別を若干忘れさせてもいた。
 サガが軽口ついでに昔のことを思い出したようだ。
「昔、お前は手合わせの約束をすっぽかして町へ遊びにいってしまった」
 ささやかな糾弾ではあるが、それに対して言い分のあるカノンは口ごたえする。
「お前が前日に帰ると言ってたのに帰ってこなかったからだろ。約束を破ったのはお前だ」
「勅命がずれこんだのだ仕方あるまい!当日にはちゃんと戻った!」
 舌戦も試合も次第にヒートアップしていく。
 そして、闘技場脇席にいる海将軍たちにはまる聞こえ状態だ。
「私達は公開兄弟喧嘩を見させられてるんですか?」
「言うなソレント…公開痴話喧嘩になったら止めに入るぞ」
 カーサとソレントが言い交わすも、双子達は互いだけに集中していて気づく気配もない。

 中の会話の聞こえぬ結界外だけが平和に、大歓声が沸き起こっていた。

2012/6/7
◆家族対抗愛合戦…(Ωネタベースに双子+射手座というカオス)


 マルスは意外と愛妻家で家族想いです。
 聖域でも周囲の目など関係なく妻メディアといちゃこらしているのを、双子座のサガが見咎めました。
「カノン、わたしたちも負けずに仲のよいところを見せるぞ」
「えっ」
「あのような者に聖闘士が負けるなど許されぬ」
 サガはどんな方向性であれ、負けることが大嫌いです。基本平和嗜好なのに超負けず嫌いとか難儀な性格です。マルスが本物のアテナを排し、教皇として君臨していたところなどに対して、同属嫌悪的な部分もあるのかもしれません。
「ああ、まあ、そうだな」
 カノンが積極的なサガに珍しく流されました。でもサガに健康的に肩を組まれたって全然マルスと奥さんのイチャラブに勝ててる気がしません。
「サガ、これでは勝てぬと思う」
「なに、ではどうすれば」
「どうやっても今のままでは勝てないのではないかな、一応相手は夫婦だし」
 なんかもう何を競ってるのか判らなくなってきました。
 そこへ英雄アイオロスがやってまいりました。
 話を聞いたアイオロスはにこにこ解決策を提示します。
「じゃあ私とサガとカノンの三人で見せ付ければいいんじゃないかな。三者に平等な愛って、たぶん普通の夫婦愛より高度だよ」
 高度を競ってたわけじゃないですけど、サガが納得したためその方向になったようです。でもそれただの3P。
「しかし、それはいわば恋愛版アテナエクスクラメーション…禁断の技ではないのか」
「大丈夫だよサガ、ビッグバンのような愛を見せてやろうじゃないか」
「なあ、それオレも参加しなきゃいけないのか」
 カノンは他の二人より若干常識があるので、だんだん周囲の視線が痛くなってきています。
 結局、そこまで頑張ったのに、通りすがったシオンに怒られて勝負はおあずけになってしまいました。
 ちなみにマルスは勝負をしかけられていたことすら気づきませんでした。

2012/6/10
◆仮面の掟…(サガv星矢+カノン)


「サガって、肌がキレイだよなあ」
 顔を覗き込みながら星矢が感嘆した。それだけでなく、実際に手を伸ばして頬に触れている。隣で新聞を流し読んでいたカノンの眉がぴくりと上がった。しかし何も言わずに様子見をしている。星矢に他意のない今のところは。
「色も白いし、やっぱあれなのかな、顔をずっと隠して法衣もきっちり着込んでいたせいかな」
 星矢はすっかり双児宮に馴染んでいて、双子たちとの関係もゴールドの先輩とブロンズの後輩というよりは、年の離れた兄弟のようだ。会話内容も、他者であればサガの過去に配慮してとても言えないような話題である。
 近づきすぎた顔を咎めることもなく、サガはソファーへ座ったまま、にっこりと星矢のするがままに任せている。
「男の肌にキズひとつないのは、自慢にならないのだろう?リザドに聞いたぞ」
「男の身体に、だよ。自慢にはならないって今でも思ってるよ。サガは戦いの傷は結構あるじゃん」
「女性ならば自慢にしてよいのか」
「女性の身体にキズがあったら大変だよ」
 たわいもない会話だ。しかし、サガがそんな風に雑談をする相手は非常に限られる。
 星矢はふと思い出したように目をくるりと光らせた。
「魔鈴さんやシャイナさんもね、聖闘士だから身体に傷は沢山あると思うんだ。でも仮面で隠されてる顔は綺麗だと思う」
「見たことはないが、美人だそうだな」
「あ、うん。シャイナさんは美人だった。魔鈴さんは俺も見たことない。でも美醜の話じゃなくて…女聖闘士の仮面の掟って、女性を守るためでもあるのかなって、最近思う」
「ほう、どのように?」
「女性には仮面の掟で厳しく覚悟を求めるけど、誰かを愛した時には女性に戻れるよう、女性にとって大切な顔にだけは傷がつかないよう、仮面で顔を保護する意味合いもある気がするんだ」
「…女神は優しいかたゆえ、そのようなご配慮もあるやもしれぬな」
「でも、顔を見られたら殺すか愛さなければならないって理由はよく判らない」
 困ったように首を傾げる星矢を前にして、サガは吹きだした。
 星矢の前では、そんな風に笑うことがよくある。
「教皇を僭称していた頃のわたしには、マスクの下の素顔を見られたら、殺す一択しかなかったよ」
 サガの話をきいて、星矢の瞳がまたきらりと光る。
「いまからでも、選択肢増やせばいいじゃん。素顔を見たものを愛すって」
 強い意志を秘めた黒目の大きな瞳が、ふいに真剣にサガを見つめる。
 サガも笑みを消して静かに星矢を見つめ返した。
「実はもう、増やしている…と言ったら、お前は」
 そこまで言いかけたサガの頭を、カノンがぽかりと丸めた新聞紙で叩いた。
「なにをする」
 抗議の声をあげたサガを無視して、カノンは続けて星矢の頭もぽかりと叩く。
 新聞紙ゆえに痛くは無いが、星矢は頭を抑えて訴えた。
「カノンのけち!」
「オレの目の前でやらかす度胸は褒めてやるが、止めるに決まってんだろ。仮面をつける前から、オレはサガの顔をみているんだからな」
 横で目を白黒させているサガをそのままに、カノンはまたソファーへ腰を下ろして丸めた新聞を広げ、のんびり読み始めた。

2012/6/13

◆足を向けられない…(パラ銀実話置き換え)
以下アイオロス=私、アイオリア=良心、サガ=代理購入をお願いしたA様


アイオリア 「ちょっと兄さん、またサガに買い物頼んだのか!」
アイオロス 「ああ、サガが街に下りる際、ついでに一緒に買ってきてくれるというので」
アイオリア 「30店越え40品以上って、ついでってレベルじゃないだろ!」
アイオロス 「うっ…しかしサガは行く店は重なっているし、全部30分以内で買えると言っていた。さすが黄金聖闘士」
アイオリア 「それ兄さんに遠慮させない気遣いだって判るよな?」
アイオロス 「お、御礼にってお菓子送った…」
アイオリア 「当然だ!しかもネット通販で二回申し込み状態になってるのに気づかず、同じ菓子セット二個も送るとか嫌がらせか。サガが笑ってくれたからいいものの!」
アイオロス 「…カノンと沢山食べてくれ(´・ω・`)」
アイオリア 「まあ、一緒に街へ行きたかったのはわかるけどさ」
アイオロス 「サガのお使いって凄いんだぞ。あの混雑の中の正確な金銭計算・購入物はきれいな個別包装してくれてお店の無料配布やチラシまで確保してくれてたりする。依頼していない品でも俺の欲しそうなお勧め物品があればそれも入手してくれる。購入ではない品の代理受け取りまで…」
アイオリア 「ほんっとーに兄さんそれ土下座ものだよ」

2012/6/25 本当に本当に毎回感謝しております(>ω<)
◆アイオリア誕…(13年後のアイオロス)


 アイオリアの誕生日に贈り物をしよう。
 そう考えたアイオロスは、次に何を贈ろうか考えた。

 服や時計など身に付けるものがいいだろうか。
 普段使いの生活用具がいいだろうか。
 お菓子や嗜好品などがいいだろうか。

 しかし、アイオロスは13年前の弟の趣味嗜好しか知らないのだった。
「いまのお前に似合いそうだと、いまの俺が思ったものでいいかな」
 人馬宮の門柱から、アイオロスは獅子宮の方角を見下ろして呟く。

2012/8/16
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