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◆2012-JUNK4

JUNKには、ブログなどで勢いのままに書きなぐった小ネタが5話ずつ格納されています。たまにこっそり加筆したり訂正したり。↑OLD↓NEW


◆ぽぽぽぽーん…(広告機構)


「お前は悪魔だ」って言うと「お前も悪だ」って言う。
「愚弟」って言うと「愚兄」って言う。
「水牢で反省しろ」って言うと「だぜ!」って言う。
そうして、後で寂しくなって「すまない」って言っても
そこにはもう誰もいない。こだますら返ってこない。
ただ波の音が響くだけ。

2011/4/19 以下過去ブログから移動忘れなどの発掘SS…
◆氷のピラミッド…(TV版悪サガとカノンとロス)


 アイオロスとカノンは頭を抱えていた。聖戦後、サガの内面をより理解するために、彼が偽教皇として君臨していた時代の記録を見たのだ。彼が何のために教皇になろうとしたのか、何に苦しんだのか、足跡の一端なりとも掴みたかった。だが、記録を見る限り随分と好き放題していたようである。そのことが文字の羅列を見るだけでも伝わってきて、二人は深いためいきをついた。
 そんな二人の前で、灰色の髪をしたサガは一人涼しげな顔をしている。
 シベリアでの謎事業の記述にいたって、カノンはとうとう愚痴めいた述懐をこぼした。
「サガ、お前に悪を囁いたのは、別に氷のピラミッド作らせたかったわけじゃないのだが…」
 アイオロスも微妙な顔つきでサガを見る
「なあサガ、あれは何が目的なんだい」
 しかし、サガはさらりと(少し得意そうに)言い放った。
「UFOを呼んでみたくてな」
「「なにいーーーーー!そんな理由か!?」」
 射手座と双子座・弟の声が重なる。サガはどこからか超自然科学雑誌ムーを取り出した。
「ピラミッドには不思議な効果があるそうだ。腐敗を遅らせたり、電磁波を増幅したり、オーラを浄化させたり。オーラと書いてあるが小宇宙のことであろう。ならば小宇宙を研ぎ澄ませて念話を増幅すれば、宇宙人との交信も可能かと…」
「まってサガ、確かにシャカは神仏と交信するけど、宇宙人と交信した聖闘士はいないよ?」
「わたしが第一人者となれると言うことだな」
「世界を支配したお前の野望の方向性が、弟のオレにも判らん…」
 これはフォローできないと脱力しているアイオロスとカノン。
 本当は、氷の大地の底に沈んでいるポセイドン神殿の一つを封じるためであったのだけれども、サガは結局二人にもそれを話すことは無かった。


2008/3/9…LCのブルーグラード話と強引に繋げてみました。
◆電話中のイギリス人…(ラダカノ)


 携帯電話を所持していると、小宇宙通信を使わずとも遠方同士で話せるというのは便利だが、携帯が繋がるということはすなわち地上同士ということだ。それならば直接会って話したい。ある程度の実力ある闘士ならば、テレポート能力があるのだから。
「ああ、もう電話では埒があかん。今からそちらへ行くぞラダマンティス」
「い、いや、まて、今は困る」
「何だよ仕事中か」
「ちがう、職務中に私用電話などせん」
「なら良いだろ」
 テレポートでラダマンティスの元へ飛んだカノンは、携帯電話を片手に全裸で寛いでいるラダマンティスを前に固まった。
「…おまえ、サガと同じ趣味か?」
 ようやく言葉を発することができたのは、ゆうに30秒は過ぎてからのこと。その間にラダマンティスは下着を履き、とりあえずのバスローブを羽織っている。
「いや、これはイギリススタイルだ」
「嘘つけ!そんなライフスタイルがあるか!」
「本当なのだが」
 ラダマンティスは、書斎の本棚から雑誌を取り出して見せた。そこにはとあるロイター記事が載っていた。記事いわく、ロイヤルメール(旧郵政公社)実施の1500人対象調査により、『(イギリスで)裸で電話をする男性の数は全体の40%』という結果がでたとのこと。
 雑誌を受け取ったカノンは、記事を読み終わったあとも遠い目のままだ。
「まあ、折角きたのだ。飲んでいくといい」
 ラダマンティスがバーボンのグラスを差し出す。
「冥界ではやるなよ」
 ぼそりと呟くと、『まだ俺はエイトセンシズを発動できないので、冥界で冥衣は脱げん』と常識的な答えがかえってきたので、余計カノンは複雑な顔になった。

2008/6/24 kokosu様の拍手コメントに記されていたニュースが「若いイギリス人観光客たちに人気のギリシア観光地クレタ島。しかし若くてフリーダムなイギリス人達が全裸になったりH行為したり狼藉三昧なのでギリシア住民抗議(要約)」という内容だったので、ラダの名誉のために「イギリス 全裸」で検索したらこうなりました。今はヘンリー王子の記事が多いので「イギリス 全裸 電話」での検索がいいと思います。
◆10秒先の墓標…(アイアコス対アニメサガ)


「ガルーダフラップ!」
 鋭い掛け声とともに、サガを空へ舞い上げたアイアコスは、地面に足でバッテンを描いた。いつもの儀式だ。必殺技によってダメージを与えられた敵は、10秒後にその印へと落ちてくる。いわば敵への墓標である。
 10秒後、確かにサガは落ちてきた。しかし、意識の無い物体としてではない。真っ直ぐに地面を見る瞳には強い意志が浮かび、背には美しく銀髪をなびかせ、まるで渓流に乗る鮎のようだ。激突する直前、くるりと宙で回転し、スピードを殺してからストンと×の中心へ着地する。その動きの華麗さは、まるで体操選手によるフィニッシュを思わせた。
 模擬戦を見ていた雑兵たちからも『10点』『10点だな』などとざわめきが流れている。
「おまえ、俺の技を馬鹿にしているのか?」
 アイアコスが低い声で唸った。手加減をしていたとはいえ、意識がしっかりしているのにわざわざ×マークの上に落ち、墓標代わりの印を踏みしめたのは、揶揄されたのだと考えても仕方がない。
 しかし、怒りを向けられたサガは慌ててそれを否定した。
「いや、それは違う」
「では何だ」
「その、印があると、なんとなくそこに降りなければいけないような気がするのだ」
「……」
 確かこいつは、偽教皇として聖域をも掌握していたはずの男なのだが。
 一転して呆れの浮かぶ視線になったアイアコスは、念のため尋ねてみた。
「お前、横断歩道を渡る時、白いとこだけ踏むタイプだろう」
「なぜ知っている」
 驚いたようにサガが返したので、完全にやる気の失せたアイアコスは、ミーノスにサガとの模擬戦を押し付けて、さっさと闘技場を降りた。


2008/10/26
◆本音…(双子会話)


 闘技場でサガが雑兵たちに訓練をつけていると、脇にある通路のほうからカノンが入ってきた。
「おいサガ、じじいから書類を預かってきたぜ」
 雑兵の目の前でも口調を改めることなく、丸めた書類でぽすぽすサガの頭を軽く叩く。神のようなという形容詞が相応しいサガと同じ顔で、粗野な振る舞いと口調をみせるカノンをみて、初見の雑兵たちは一様に固まった。カノンは普段海界にいるため、双子座の影ではなくなった現在でも、本人を見かけることはまだ少ないのだ。
 そんな周囲の反応をみたカノンは、ずけずけと遠慮のない言い回しで、からかうように話しかける。
「何だお前ら、サガのファンか?」
「カノン、やめないか。それからシオン様はじじいではない。せめて教皇と呼びなさい」
 13年前、悪童だったカノンへ叱責を繰り返す毎日を思い出し、サガの表情も少し険しくなる。カノンもまた当時のように、挑発的な表情で笑い飛ばした。
「お前も黒いときは妖怪呼ばわりしているくせに?」
 皆の前で闇の人格の発言をあげつらわれ、サガの顔が羞恥と怒りで朱に染まる。
 13年前であれば、ここで兄弟喧嘩に発展するところなのだが、昔と異なるのはギャラリーがいるところなのであった。雑兵たちはカノンからの発言を厭味ととらず、素で受け止めていた。
「貴方が噂のサガ様の弟君ですか!」「俺、サガ様ファンですけど、カノン様も好きになりそうです」「そっくりなのにワイルドな言動のギャップが素敵だ」「二人並んでるところ、写メ撮っていいですか」
 滅多に会えぬもう一人の双子座の黄金聖闘士の登場で、一部雑兵のボルテージは一気に上がっていたのだ。また運の悪いことに、本当にサガファンの面子も多かった(サガによる訓練に、サガ目的でファンの雑兵が押しかけてきているのは当然なのだが)。
 兄弟間の険悪な空気など読みもせず、わらわらわらと汗臭い野郎どもが周囲を取り囲む。どう返して良いのか、こういう好意溢れる接近に不慣れなカノンは、兄へのちょっかいも忘れて珍しく硬直した。以前であれば有無を言わさず吹き飛ばしているところだが、真面目な聖闘士(兼・海将軍)になったいま、私闘は許されない。
 そこはファンあしらいに慣れたサガのほうが、順応が早かった。
 カノンを庇うようにして肩をささえ、抱えるようにしてトンと軽い跳躍で人の輪から抜ける。1段高い観客席の石段の上から、サガは光り輝くような笑顔を見せる。
「すまぬ、訓練の途中ではあるが、この書類は急ぎのようだ…今日の稽古はこれまでとする」
 そのまま、カノンを連れて十二宮の方角へと飛ぶ。雑兵たちは呆気にとられて双子を見送った。
 強引に連れ出されたカノンも、多少唖然としていた。
「…お前らしくねえぞ、今の」
 するとサガは、カノンへはむっとしたような不満げな顔を見せた。
「お前こそ、らしくもない。わたしがいなければ抱きつかれていただろう」
「流石にそこまで油断しねえよ!何だ、妬いてるみたいだぜ?その言い方」
「…妬いたらおかしいのか」
 そのままむすっと黙ってしまった兄を、今度こそカノンは唖然として見つめ返した。

2009/1/6
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