JUNKには、ブログなどで勢いのままに書きなぐった小ネタが5話ずつ格納されています。たまにこっそり加筆したり訂正したり。↑OLD↓NEW
◆わたしの馬に…(双子会話)
サガ「将を射んとすればまず馬を、という言葉が東洋にはある」
カノン「ああ、それで?」
サガ「アテナを狙うにはまず天馬(ペガサス)から…ということで良いのだな?」
カノン「な?じゃねえよ!オレに確認するな!絶対そういう意味じゃねえよ!」
サガ「ペガサスだけでもいいのだ」
カノン「普通は一人に絞るものだ図々しい」
サガ「そういえばもうひとり馬がいる」
カノン「半人半馬だがな」
サガ「彼なら…」
カノン「アテナを狙って人馬を殺すのはもうやったろ」
サガ「……(´・ω・`)」
カノン「………」
サガ「……(´;ω;`)」
カノン「わ、悪かったよ、泣くなよ」
2012/3/29
◆雨漏り…(星矢とサガ)
「十二宮ってすごく古い神殿なのに、そういえば雨漏りしないよね」
雨の日に双児宮を訪れた星矢が、ふと気づいたように天井を見上げた。
茶菓子を用意していたサガが、微苦笑する。
「星矢、宮の多くは聖戦の折に破損しているゆえ、修復が入っているぞ」
「あ、そっか。ここの天井もサガが壊してたっけ。新しいんだ」
星矢に悪気はないが、サガは気まずそうに頷いた。
「ああ、あの時はとにかくアテナの元へゆかねばと必死で…」
しかし星矢は首を傾げる。
「あれ?聖戦後も何回か壊れてるって聞いたよ?」
「…星矢、この菓子は美味しいと評判の店から取り寄せたのだ。良ければ食べてみてくれ」
主に兄弟喧嘩のせいで、とまでは言われなかったが、サガはにっこり菓子を差し出して誤魔化した。
2012/5/3
◆光速の齟齬…(ロスとサガ)
外勤帰り、十二宮の公道を下から登ってきたアイオロスは、双児宮の前で足を止めた。
(折角だから、サガの顔でも見ていこうかな)
最近は互いに忙しく、話をする時間もなかなか取れない。小宇宙通信で来訪を告げようとしたその時、宮の内部で次元の歪む感触がした。
「サガ!?」
思わずアイオロスは飛び込んでいた。敵襲でもないのにこれほどの小宇宙が発動されるなど、ただ事ではない。光速で侵入したアイオロスの目に入ったのは、天井付近に開いた次元の穴と、そこから無防備に落ちてくるサガの姿だった。慌てて受け止め、怪我がないかを確認する。
「何があったのだ、サガ!」
「ア…イオロス…」
サガは肩で息をしている。まるで全力疾走をした後のランナーのようだ。サガほどの男がここまで余力を無くすとは、一体何があったのだろうか。手を握ると、サガは睫毛を震わせてアイオロスを見上げ、苦しい呼吸のなか懸命に言葉を紡ごうとしている。
「…タナト……リア……危ない…」
「タナトスがどうした!?まさかアイオリアの身にも危険が」
慌てて叫んでから、思い返して小宇宙通信に切り替える。握った手から肉体接触を通してアイオロスの意志がサガへ伝わっていく。緊急時には、このほうが意思の疎通を早く図れるだろう。
しかし、サガから返ってきたのは大音量での抗議だった。
『危ないではないか!次元通路を開いた空間に、光速で走りこんでくるなど!双児宮が吹っ飛ぶほどの大爆発を起こしても不思議ではないのだぞ!わたしが全力で咄嗟に次元軸をずらしたから良いようなものの!』
この強気なモノの言い方は統合サガに違いない。
『あれ、ちょっとまって。それよりタナトスとリアの話は』
『そんな話はしておらぬ。出張先のサンタナトーリア・ディ・ナルコから直通で戻ろうとしてみれば、お前が突然飛び込んできたせいで、と言おうとしただけだ』
『………サンタナトーリア・ディ・ナルコってどこ』
『自分で調べろ』
次元のゆがみは単にサガが帰宅用に道を開いただけだったらしい。勘違いをしたアイオロスが光速で駆け込んだため、サガが急ブレーキならぬ急速次元制御を行う羽目になり、こんな状況に陥ったわけなのだ。
赤面したアイオロスが詫びをいれかけ、ふと気づいて真顔になる。
「ちょっと待ったサガ。君は元教皇なんだから、十二宮内はショートカット禁止って当然知ってるよね?」
次期教皇候補が軽く睨むと、サガは気まずそうに視線を逸らして『便利ゆえ、つい…』と言い訳をした。
2012/5/11
◆パライストラ構想…(Ωネタ有・黒サガとシュラ)
「あの小娘…毎回何を考えているのだ」
赤い凶眼をもつ黒髪の少年が、ぶすりと頬杖をつく。座っているのは教皇の玉座などではなく、粗末な勉強机の椅子だ。その隣へ並べられたもう1つの勉強机では、少年姿のシュラが苦笑している。
「訓練生の修行環境の向上と、教育の質の安定化は貴方もお考えだったではありませんか」
「わたしは効果が上がれば教育手段や過程など問わぬ。考えていたのはもう一人のほうだ」
「俺は楽しみです。体制を一新するためのパライストラ計画…さすが日本育ちの女神、面白い発想かと。ただ、貴方まで協力を引き受けるとは思いませんでした」
「……フン、わたしはここで学べる属性とやらに興味があるだけだ」
聖戦を乗り越え、聖域がすっかりおちついた数年後、女神は聖闘士の修行体制を整えると宣言し、主に師弟関係のみに託されていた教育部分を、教育専門のバックアップ機関を立ち上げることによってフォローすることにした。俗に言う「パライストラ構想」である。
パライストラとは、古代ギリシアのレスリング学校『パライストラ』をもじったものだ。さらに競技選手の訓練社交場ギュムナシオンや、学校施設アカデメイアの機能も備えている。
これにより、個々の教育のばらつきを埋め、安定した戦力を図ることが出来るという目論見だ。
「あの小娘は口にしておらぬが、例えば仮に偏った思想教育…聖域に反旗を翻すような教育を受けた者がいたとしても、新米聖闘士をその教育機関に放り込んでチェックを行えば、矯正することも可能であろう。上手い方法よ」
サガの指摘に、シュラは首をかしげながらも答える。
「貴方のような方がまた現れたとして、おいそれと矯正できるとは思いませんが」
「……」
悪気はない。シュラに裏表はなく、むしろサガへは好意的だ。それゆえ闇のサガも受け流している。
「しかし、それならば貴方も女神の計画には賛同なのですね。なのに何故そのように不機嫌なのです」
「お前は納得がいくのか!『みなさん学生という年でもないでしょうから、一律13〜15歳くらいの肉体年齢になってもらいますね』の一言で子供にされたことを」
「15歳なら貴方が教皇になられた歳ではないですか。子供ではありません」
「……」
あくまで悪気はない。
苦虫を噛み潰したような顔になったサガに気づきもせず、シュラはマイペースだ。
「俺は結構楽しみです。その…まさかクジで貴方と同室になれるとは思いませんでしたから…」
「……」
それはサガにとっても幸運であった。
この学園において、生徒は基本的に相部屋で暮らすことになっている。
だが、もうひとりのサガであればともかく、闇を司るほうのサガといさかいを起こさず、また萎縮もせずに生活していける人間は限られるだろう。
「それに、デスマスクなどは学生食堂の方にも協力してるようです。食事も期待できますよ」
「新米聖闘士が恵まれすぎではないか?」
「俺もそう思いますが、厳しい修行を行う少年にとって、食事は大概1番の楽しみですから」
サガは椅子から立ち上がると、トンと軽く床を蹴って共同部屋の二段ベッドの上へと移動する。上下の寝台どちらを使うかはまだ決めていなかったが、サガは勝手に上段を自分の寝床と決めたようだ。
「明日の授業とやらは、多少楽しみだ」
「…お手柔らかにしてあげて下さい」
シュラもまた立ち上がり、ベッドの上に腰を下ろしたサガを見上げる。
ちなみに、僭称とはいえ教皇職をこなしていたサガは、聖域の叡智の結晶であるといってよい。属性に関する授業はともかく、他の科目や戦闘実習に参加するのは教えを受けるためではない。教師となる者たちの教え方を生徒の立場からチェックし、逆に後で問題や改善点を指導するためだ。少年にされた他の黄金聖闘士たちもおおむね同じ立場にある。
「俺は女神に感謝していますよ。こうして貴方と少年時代をやり直せるなんて」
「…フン。わたしはそこも気に入らん」
おそらく女神は、こうして皆に学生として集団生活を営ませることによって、個人主義となりがちな聖闘士たちを互いに馴染ませるだけでなく、”普通の生活”をする機会をプレゼントしたのだろう。何だかんだ言いつつ、サガもそれに乗っている。気に入らないのは、すべて女神の手の上であるという部分だけであった。
長年の付き合いで元上司の性格を見通しているシュラは、にっこり笑って自分も下段のベッドへ入り込んだ。
<オマケ>
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黒サガ「ふふ、わたしの属性とやらは何であるのか楽しみだ」
山羊「闇でしょう」
蟹「闇しかねえだろ」
魚「考えるまでもなく闇ですよ」
黒サガ「アレもわたしも風呂好きだ!水属性かもしれぬ!」
蟹「ねえな」
魚「あのひとのほうは、多少水属性の可能性もあるかもしれませんね」
山羊「あのひとは光属性じゃないかと」
黒サガ「貴様ら、授業の楽しみを奪うな!」
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2012/5/13〜15
◆開放的ビーチ…(星矢と双子でラダカノ要素あり)
星矢「世界21カ国の調査によると、ビーチでヌードになる人の割合、最低は日本人なんだって」
サガ「そうなのか…星矢、何か視線に含みがあるような気がするのだが」
星矢「ふ、含みは無いよ。調査国の中にギリシアがなかったから、どうなのかなって。俺はギリシアで育ったけど、海は魔鈴さんに落とされた思い出ばかりで、ビーチなんて行った事ないし」
サガ「わたしは脱がないが、ギリシア人なら日本人よりも開放的だろうな」
カノン「お前なら脱ぐだろ。…いてて、抓るな!」
星矢「脱ぐ割合が1番高いのはドイツ人だって!なあなあカノン、ラダマンティスはどうなの?」
カノン「…あいつはドイツ人じゃねーよ。イギリス人だ」
星矢「えっ、そうなのか?生真面目そうだからてっきり。っていうか何でカノンがラダマンティスの国籍まで知ってるんだ?」
カノン「うっ…いや、その…」
サガ「星矢、カノンは海将軍筆頭として、各界の闘士データは把握しているのだよ。このわたしも各軍の代表的闘士の情報は軒並み得ている」
星矢「へえ、そうなんだ。さすがトップは違うんだなあ」
感心する星矢を前にして、サガはこっそり小宇宙通信で弟へ囁く。
『カノン、今度わたしに奢りなさい』
『…わかったよ』
兄の要求に、今回は素直に応える弟であった。
2012/5/25