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◆2011-JUNK6

JUNKには、ブログなどで勢いのままに書きなぐった小ネタが5話ずつ格納されています。たまにこっそり加筆したり訂正したり。↑OLD↓NEW


◆信頼…(ロスリア兄弟でサガ話)

アイオロス「サガが街へ出かけると言うので、ついでに買い物を頼んだのだ」
アイオリア「へえ、そうなのか」
アイオロス「復活したてで生活用具がなかったので、本棚と洋服ダンスと洗濯機を…」
アイオリア「ちょ、兄さん、それついでってレベルじゃないぞ!嫌がらせか!」
アイオロス「ううむ。サガならなんとかしてくれそうな気がして」
アイオリア「どうやってその量をついでで運ぶんだよ!」
アイオロス「…サガなら、サガならなんとかしてくれる」
アイオリア「それ信頼じゃなくて、思いっきり甘えだから!」


2011/9/21
◆ベテルギウス…(ロスサガ)

 十二宮の公道を、上に向かって歩いていたアイオロスは、双児宮の前で足を止めた。宮外にサガがいたのだ。法衣姿のサガは、道縁から夜空を一心に見上げている。
「こんばんは、サガ。占星かい?」
 声をかけると、守護宮への接近者のことはとうに気づいていたのだろう、サガは驚きもせず会釈を返してきた。
「占うつもりはないのだが、ついそうしてしまいそうになるな…今はベテルギウスを見ていた」
「ああ、最近話題だよね」
 ベテルギウスは冬の大三角形をつくる変光星だ。数年のうちに超新星爆発を起こすであろうといわれ、その時には夜が薄れるほどの明るさをもたらすだろうと言われている。
「ベテルギウスの語源を、アラビア語のBayt al Jawza'(双児宮)とする説もあるんだって。まさに星を砕く爆発を見せてくれるわけだね」
 アイオロスが笑いかけると、つられたようにサガも微笑んだ。
「640光年彼方のあの星は、目には見えるけれども、それは過去の光で、もう存在していないかもしれないのだ…たしかに我々のようだと思う」
 最後の方は静かな声だった。
 死者でありながら、聖戦後に蘇生された自身を揶揄しているのだろう。
 アイオロスは近づいてサガの頭をくしゃりと撫でた。
「暗いなあ。俺なんて、爆発時の明るい期間は、光を嫌うハーデスが地上に出てこないだろうから、いろいろ防犯上楽だなって楽しみにしているのに」
「お前は楽観的過ぎだ。巨犬座の守護星座の変動による白銀聖闘士への影響も考えねばならんし、爆発光は太陽神や月神の領分を侵すものゆえ、それによる各種結界のパワーバランスも考慮しなければならん。今から準備しておかねば間に合わんぞ、それに…」
「あれ、なんか意外と元気?」
 撫でた手の下で、アイオロスを見つめる瞳には自嘲の色よりも濃く、強い意志が垣間見える。
「いつまでも昔のわたしと思うな。これでも13年間教皇として聖域を守ってきたのだぞ」
 それは確かな自信に裏付けられた、本来のサガの強さだ。
「うん、そういう君を愛してるよ」
 世間話でもするように伝えると、サガは一瞬何を言われたかわからなかったかのように目を見開き、それから顔を赤くして黙り込んだ。
(そこは全然昔と変わらないなあ)
 動揺を隠せないでいるサガの手を、どさくさまぎれに握りながら、アイオロスは目を細めた。


2011/9/25
◆デスクイーン島…(カノンと星矢)

「なあなあ、カノンて昔、サガに怒られてスニオン牢に閉じ込められたことがあるんだって?」
 悪気なく尋ねた星矢は、ぎろりとカノンに睨まれた。
 それはカノンのトラウマの1つである。今は乗り越えているものの、あまり楽しい思い出ではないことに変わりない。
「ああ」
 言葉すくなに答えたカノンへ、星矢は少年らしい率直さで続けた。
「デスクイーン島とかに送られなくて良かったなあ」
「そちらの方がどれだけ楽だったか」
「きっとカノンだったら、すぐにジャンゴとかいうのを倒して、暗黒聖闘士たちのトップに立ったよな」
「あのようなはぐれ者たちなど、相手にもならん」
「でも、やっぱりそこで配下の四天王とかを集めて世界征服めざしただろ」
「小僧、お前もう少し言葉を選べ。まあ、当時のオレならそうしただろうが…暗黒聖闘士をいくら並べても、世界を支配するだけの布陣は敷けん。他界陣営と組むなどして、もう少し手の内を整えたろう」
「そうしたら、シャカが一掃にくるわけだな!」
「………」
「一輝の代わりにカノンがシャカと戦って、命を助けられることになると」
「………」
 聖衣の無い状態では、さすがのカノンもシャカに敵う気はあまりしないが、カノンが15歳当時シャカは7歳だ。おそらく星矢はそれを失念している。しかしその場面を想像してみたら頭痛がしてきて、カノンはこめかみを押さえる。
「そのあとカノンが同じように海界に入り込んで聖戦になったら、一輝と対戦したときに言われるんだ。『お前は神聖なるシャカに借りがある!』って」
「…………」
「『お前は13年前、シャカの大いなる小宇宙によって命を救われているのだ!』って言われて、改心したと思う?」
「………ないな」
「だよな」
 何気にシャカに対して失礼なことを言っている二人だったが、カノンは星矢の話す「もしも」の内容から深いダメージを受けていたため、気を回す余裕が無い。
「だからさ、やっぱり女神の愛に触れる機会を得たほうが良かったんだよ。カノンが一緒に戦うようになってくれて、サガも喜ぶし、俺たちも嬉しいし」
「……お前1度試しにあの水牢に入ってみるか?」
 星矢の頭を両手で挟みこんでゴリゴリと締め付けつつ、それもそうだなと少しだけカノンは思った。


2011/9/29
◆TV購入…(双子がTVでラダとロスが購入者だったら)

ラダ「サガとカノンか…スペックも機能も大差ないようだが」
ロス「カノンは海龍オプションもついてるみたいだけど、区別つかないよね」
カノン「サガのフォルムの美しさも判らない奴にサガは売れんな」
ロス「いや、私はデザインより中身重視だから」
ラダ「俺はデザインも重視だ。そしてカノンのフォルムの方が好きだ」
カノン「ラダマンティス…サガのハイビジョンよりオレを選ぶと言うのか」
ロス「あ、サガはオレが買うからね」
サガ「アイオロス…わたしは確かに神のような映像といわれている。しかし、購入者に隠していることがあるのだ」
ロス「なんだい?」
サガ「わたしには瑕疵がある…ときおり画面が切り替わり真っ黒になるのだ」
ロス「なんだそんなこと」
ラダ・カノン「いいのか!?」
ロス「私は映像を見たいんじゃない、サガを傍におきたいんだ」


2011/8/28 それTVとして駄目じゃん
◆渋抜き… (双子)

 机の上の籠に果物がこんもりと入っている。
(またサガが村人にでも貰ってきたのだろう)
 そんな風に考えていると、そのサガが台所から戻ってきた。手には酒瓶がある。昼間からサガが酒を飲むことなど、ほとんど無いので珍しい。
「おかえり、カノン。先ほどまで星矢が来ていたのだ。入れ違いだったな」
 カノンの視線に気づいたのか気づかないのか、サガはいつものように弟を迎えた。
「あの小僧、また来たのか」
「そこにある柿を届けてくれてね」
 青銅聖闘士である星矢は、何かにつけて遊びに来る。サガもそれを待ち望んでいるところがあるようだ。ただでさえ年下に甘い兄が、星矢に対してはさらに甘くなる。
「1個貰うぞ」
 まあいつもの事だと籠の果物へ手を伸ばすと、慌てたようにサガが止めた。
「駄目だ、カノン」
「何故だ。あの小僧もお前だけに寄越したわけではあるまい」
 少しむっとしながら、赤く色づいた柿を手に取り、乱暴にかじりつく。
 …しかし、えぐかった。
「何だこれは」
「だから止めたろう!それは渋柿というものだ」
「どうやって食えというんだ、こんなもの」
 口の中に、舌がざらざらするような渋みが残り、なんとも後味が悪い。
「湯に漬けるか、アルコールの高い酒を使って、渋みをまず抜くのだ」
 サガが呆れたように、手にしていた酒瓶を見せる。ジンだ。
 オレはその瓶をひったくり、口直しにひとくち含む。
 ますますサガが呆れ顔をしたので、オレはその瓶をサガに突きつけた。
「お前もひと口舐めてみろ」
「何故わたしが」
「酒が入れば、お前の渋みも消えて甘くなるかもしれんからな」
「わたしはいつでもお前に甘いだろう」
 サガはぶつぶつ言いながらも、渡された酒瓶の口に沿って人差し指でくるりと円をかき、指先についたジンをぺろりと舐めた。


2011/10/15
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