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◆2011-JUNK4

JUNKには、ブログなどで勢いのままに書きなぐった小ネタが5話ずつ格納されています。たまにこっそり加筆したり訂正したり。↑OLD↓NEW


◆半睡海皇…(海皇がカノンの嘘を見透かしていたら)

 ん?女神の黄金聖闘士が来ているな。何の用だ…は?シードラゴンとか言い出したぞ…それで騙せるつもりなのか。海神が自分の選んだ海闘士を間違えるなどありえぬだろう。スパイのつもりか?いや、どうも女神には敵対意識を持っているようだな。まったく女神の聖闘士教育はどうなっているのだ。まあ私には関係ないがな。それにしてもこやつの真剣な顔と来たら…プっ…笑わせてくれた礼に、鱗衣を任せてやるか。どんな面白いことをやらかしてくれるか楽しみだ


2007/1/6 以下三連続で過去ブログからの発掘…
◆映画「僕は妹に恋をする」紹介文パロ…(双子)

その時、世界は残酷なほど美しく見えた

 双子の兄弟のサガとカノンは、同じ聖域に通う黄金聖闘士だ。
 幼い頃はシロツメ草の草原で無邪気に結婚の約束をしたほど仲がよかったが、最近はなぜか、サガのカノンへの態度はすっかり冷たくなっている。
 サガの変化を悩みながらも、カノンは二段ベッドの上に眠るサガに、自分に思いを寄せるラダマンティスにどう答えるべきかを相談するのだった。が、やはりサガは相手にしてくれない。
 サガと同じクラスのアイオロスは、放課後、友達と楽しそうに話しているカノンを執務室から見守っているサガに近づき、「弟って得だね」と意味ありげにつぶやいた。
 ある夜、ベッドで眠るカノンにサガがキスをした。
 驚くカノンにサガは、思いを打ち明けるのだった…。


2007/1/20 サガがこれくらい積極的だったらとっくに結ばれてますよ
◆悪ふざけ…(サガが風小次の項羽タイプ兄だったら)

「死ね女神!」
 今まさに短剣を振り下ろそうとしたサガの手が、他者の存在に気づいて止まる。
 誰も訪れないはずの女神の寝所へ現れたのは、本来教皇となっていたはずの男・アイオロスと同僚の黄金聖闘士たち。
「フッ、またサガの悪ふざけが始まったな」
「女神と戯れるのもいいですが、夜更かしは美容の敵ですよ」
「こんな夜更けに教皇のコスプレしてまで女神と遊びたいとか、アンタ本当はロリコンだろ」
 眠る女神を殺そうとしているサガを見ても、誰一人その行為を咎めない。
 一体普段のサガの素行とはどのようなものなのだと、赤子の中のアテナの意識は不安になるのだった。


2007/6/1
◆限界突破…(サガ+カノン)

「暑い…」
 兄の呟きを耳にしたカノンは、顔をあげてそちらを見た。
 珍しいこともあるものだ。サガは自分の苦痛や不満を表に出すタイプではない。いつでも世界と隔絶したような穏やかさで、超然と振舞うのが常だ。
 よく見ると額にうっすらと珠の汗を浮かばせている。眉間には深い縦皺。よほど暑いのだろう。
「天気予報によると、今日は真夏日となるらしい」
 話しかけられたと言うわけではないが、部屋にいるのは二人きり。何とはなしに返事をすると、サガはぼそりと愚痴めいたことを言った。
「こう暑いと、イライラしてくるものだな…」
 ますます珍しいと、カノンは目を丸くする。
 サガは自律意識の強い男で、天候だの体調不良だので気分を変えるような性格でもないのだ。
「らしくないぞ。いつものお前であれば『心頭滅却すれば』云々と諭す側だろう」
 思わず呟くと、サガが眉間に皺を寄せたままカノンを睨んだ。
「お前は『Orandum est ut sit mens sana in corpore sano(健やかなる精神が強健な肉体に宿るよう祈るべし)』という言葉を知っていよう」
「は?何だ突然」
「健全な精神が健全な肉体に宿れば良いな…という言葉が、後年、富国強兵思想を通じて『健全なる精神は健全なる肉体に宿る』という断定形となる」
「それがどうした」
「『心頭滅却すれば火もまた涼し』も、元の意味はおそらく『心頭滅却すれば火もまた涼しく感じられると良いなあ』であるに違いない。どうしたところで、暑いものは暑かろうからな」
「…いや、そのようなことはないと思うぞ」
「『聖闘士に1度みた技は通じん』とて、実行できるのはスキルの高い一部のみで、実際には『聖闘士に1度みた技は通じないと良いなあ』であろう。いや、技ならば克服できるかもしれん。しかし夏の暑さは何度味わっても暑いのだ」
「僭称とはいえ、元教皇がそんなこと言っていいのかよ。ていうかサガ、おまえ…」
 カノンは立ち上がって兄のもとへと近づいた。テーブルに肘をついているサガの隣へいき、かがみこむようにして顔を覗き込む。
「やっぱりお前、黒いほうだろう」
「…まだ完全に入れ替わってはいない」
「どうみてもほぼ99%黒い方だろ。何でまた無理して髪の色を抑えてるんだ」
 闇の意識を持つほうのサガは、もうひとりのサガの強固すぎる自制心の反動なのか、欲望や欲求を隠そうとしない。
 これだけ中身が闇の人格の方へ傾けば、とうに髪も黒く変化していていいはずなのに、紛らわしいことに髪の色だけはいつものサガに見えるのだ。
 カノンが尋ねると、黒サガは眉間の皺を指で押さえつつ呻いた。
「黒髪のほうが熱吸収率が高いからに決まっているだろう!」
「……」
 カノンは黙ったあと、盛大にため息をついて台所へと歩いていき、暫くがたがた音をさせていたかと思うと、手になにか持って戻ってきた。
「これでも食べて、頭を冷やせ」
 カノンの手にあったのはガラスの器に入ったカキ氷。
 双児宮の冷蔵庫は電気式ではなく、昔ながらの木製冷蔵庫で、上段には冷却用の氷の塊が入っているだけだ。それゆえに、長期保存や冷凍保存は不向きなのだが、カノンはその氷を細かく光速拳で砕いて器に盛り、サングリアをかけたのだった。
 簡素な出来合いだが、サガ(黒)はぱっと顔を輝かせる。
「気が利くな」
「放っておくと、お前がもう一人のサガに迷惑をかけそうだからだ」
「失礼な。氷菓には感謝するが、いざとなれば解消手段はあったのだ」
「…その辺の雑兵に呼びかけて、アイスを買ってこさせるなどというのはナシだぞ。大体、並みの雑兵では街からここまでアイスを溶けさせることなく持ってこれまい」
 視線を逸らせたのを見ると、図星であったらしい。
 サガはカキ氷に木匙をつっこんで乱暴にひとすくいすると、それをカノンの口元へ運んだ。
「毒見をしろ」
 最初のひと口をカノンに差し出すのは、礼代わりだろうに、そんな憎まれ口を叩く。
 口に含んだそれは、甘くて冷たい夏の味がした。


2011/7/2
◆余桃の罪…(星矢+双子)

「こんにちはー!」
 元気な挨拶とともに双児宮へやってきたのは、ペガサスの星矢だった。
 その星矢は、居住区エリアをのぞきこむと、アレ?という顔をした。
「サガは留守?」
 いつもサガが座っているソファーには、カノンがラフな格好で寝転がっている。そのカノンは起き上がり、背もたれに深く寄りかかると、長い足をえらそうに組んだ。
「迷宮の小宇宙がオレのものだった時点で気づけ」
「いや、それはわかんないよ」
「フン、まだまだ未熟だな。それでサガに何の用だ」
「勉強を見てもらおうと思って」
 星矢の手には、ノートと教科書の入ったクリアファイルが抱えられている。
 ちらりとそれへ視線を走らせたカノンは、呆れの表情をみせた。
「お前、サガに中坊の宿題レベルの内容を聞くつもりか」
「そ、そうだけど…サガの教え方って、凄く分かりやすいんだ」
 その言葉で、既に何度もこうして教えを請いに(というか宿題を見てもらいに)双児宮を訪れたであろうことが知れる。
 カノンは眉をひそめながらも、星矢へ座るよう促した。
「オレが代わりに教えてやる」
「ホント!?」
 星矢からしてみると、サガがいないのは残念ではあるけれど、カノンに教えてもらえるのもまた得がたい機会である。カノンはいい加減に見えて、実はとても頭がいいのだとサガが話してくれたこともあった。
 星矢はうきうきとテキストを広げる。
「じゃあまず、この余桃の罪ってどういう意味?」
「お前…常識だろ。最近の青銅はそんなレベルなのか」
「うっ」
 確かに勉強に熱心ではなかったけれども、カノンの常識水準もまた高い気がして、星矢は心の中でこっそり反駁する。
「とりあえず、お前の思うところの意味を言ってみろ」
 それでもカノンは、ただ答えを示唆するのではなく、まずは星矢に考えさせた。そのやり方は、乱暴な口調ながらサガの教え方と共通するものだった。
「ええと、余った桃に関する罪だと思うんだけど…」
 ただし、幾ら考えても、元となる故事を知らなければ分かるわけがない。
 カノンは肩を竦めて説明しだした。
「例えばだ。シュラが食いかけのサガを『美味しいですよ』ってアイオロスにやったとするだろ?」
「サガは食べ物じゃないぞ」
「例えだって言ってんだろ。桃に置き換えろ」
「えええええ」
「アイオロスは喜んで『美味いな』って食っておきながら、あとで冷静になったら『食べかけのサガを寄越すなんて、教皇候補に不敬だろう!そもそもシュラはサガを食べたらダメだ』ってシュラを罰したわけだ」
「アイオロスはそんなこと言わないし、しないよ!」
「シュラがサガの代わりに食われるかもな」
「えええええ、シュラも桃なの?っていうか、その例えだと1番怒るのサガじゃないの?」
「オレも怒るな」
「ええと、桃を食べるのは罪ですって故事?」
「お前、こんなに分かりやすく例えたのに分からないのか。馬鹿ではないか?」
 しかし、そのカノンの頭にはゴ…とげんこつによる鉄拳が落ちた。
 いつの間に帰宅したのか、サガが氷点下の空気をまとわせて、カノンの座るソファーの後ろに立っている。
「カノン…子供相手にお前という奴は…」
「な、なんだよ、ちゃんと教えてたろ」
「今の与太話のどこがそうなのか、わたしを納得させてみろ…」

 なんだか双子の間で千日戦争が始まってしまったので、星矢は仕方なくテキスト類を片付け、隣の巨蟹宮へ宿題を教えてもらいに行くことにした。


2011/8/5
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