JUNKには、ブログなどで勢いのままに書きなぐった小ネタが5話ずつ格納されています。たまにこっそり加筆したり訂正したり。↑OLD↓NEW
◆お持ち帰り…(双子とアイオロス)
カノンが海界の仕事から帰ってくると、双児宮に人の気配が無い。
灯りも消え、迷宮も消えている。
サガが留守のはずはないので、首を捻りながら居住部分へ足を運ぶと、リビングのテーブルの上に何やら手書きで記された1枚の紙切れが置いてあった。
サガの書置きかなと思いそれを手に取る。それには、このように書かれていた。
『貴重品お預かりのお知らせ
ご不在でしたのでサガは持ち帰りお預かりしております。
再配送は翌日以降となりますのでご了承ください。
アイオロス』
「ふざけんな!」
カノンは紙切れを片手で握りつぶすと、そのまま人馬宮へと向かった。
2009/9/25
仕事で行けなかったパラ銀で、A様が代理購入してお送り下さった戦果を、郵便局の人が不在判断で持って帰ってしまった悔しさをSSにしてみました。A様その節は本当に有難う御座いました!
◆お持ち帰り2…(黒サガとシュラ)
黒サガはシュラの首へと両手を回し、耳元で囁いた。
「宅配を頼もうか。壊れ物ゆえ丁寧に運べ。届け先は麿羯宮だ。荷は双子座のゴールドセイント」
あからさまな求愛行動にしか見えなかったが、シュラにはそれでもまだ通じないのだった。
「一梱包あたりの価格が30万円を超える場合は別便ですよ」
「……」
黒サガに思いっきり頬を引っ張られているシュラを見て、隣に居たアイオリアはどちらへ同情すべきなのか暫し悩んだ。
2009/9/25
◆お届け完了…(ロスサガでロスと黒サガ)
聖戦も終わって数ヶ月もすると、当初の混乱も落ち着いてきて、聖闘士たちにも以前のような日常が戻っている。弟子を育てる者、休暇をとる者、改めて修行に出る者などさまざまだ。
そんな中、逆に忙しさを増しているのがアイオロスだった。
次期教皇となるための修養や知識の継承は半端なものではなく、それと平行して行われる肉体的修練も並大抵の厳しさではない。なにせ13年分ほかの黄金聖闘士との経験値差があるのだ。
早朝から夜半まで続くハードなスケジュールの後は、流石のアイオロスもぐったりと寝台に潜り込むだけの毎日になっている。翌朝までに体力と精神を整えるのも、大切な業務のひとつだ。
今夜も軽く風呂に浸かったのち、早々に横になろうとしたアイオロスだったが、ふと人馬宮への来客の気配を感じ取り目を瞬かせた。それはとても覚えのある小宇宙だ。
慌てて居住スペースの入り口へと向かうと、出迎えたアイオロスの前に現れたのは、黒い髪を靡かせるサガだった。
「こ…こんばんは、サガ?」
アイオロスはまた目を瞬かせた。こちらのサガはアイオロスを敵視しているのか、会うたびに棘のあることを言う。棘があろうとも言葉を交わせるのなら良い方で、大抵は視線も合わせず無視されてしまう。
そのサガが、一体どのような目的で人馬宮を訪れたのか、アイオロスは戸惑った。とても疲れているので、正直なところ、このサガから与えられる言葉のナイフを今は遠慮したい。そう思ってしまってから、彼から傷つけられること前提な自分の思考に余計落ち込んで俯いた。どんなサガであれ、自分は仲良くしたいと思っているのに。
そんなアイオロスを見下ろして、黒のサガはフンと鼻を鳴らす。
「貴様らしくもない」
どんな俺であったら俺らしいのだと、ちらりとアイオロスは考える。
サガは胸の前で腕を組み、何かにイラつくかのように、足先をタンタンと床へ叩き付けた。
「弱るのは勝手だが、それをアレの前で見せるな。貴様のせいで、わたしまで引きずられる」
「何のことだ?」
何を言っているのか分からず、アイオロスが顔をあげると、黒サガが深く長い溜息を付いた。
「…貴様に届けものだ」
言葉が終わると同時に、サガの黒髪が先端からざわりと色を変える。
月の光を集めたような柔らかな色合いの、蒼みがかった銀髪。
瞳から血を思わせる紅色が消えると、そこにはアイオロスの友人であったサガが居た。そのサガはまだ意識の交代が済んでいないのか、暫しぼうっと佇んでいたが、ハッと我に返ると慌ててアイオロスに頭を下げた。
「こ、このような夜更けに押しかけて済まない、アレが迷惑をかけて」
アイオロスはじっとサガを見た。
黒のサガとはまともに話せるような関係ではないが、こちらのサガもなかなか巧妙にアイオロスを避けていて、聖戦後に落ち着いて話せたことがない。
「邪魔をしたな、失礼する」
踵を返そうとするサガの手を、アイオロスは咄嗟に掴んだ。
掴んでしまったら、もう離せなかった。
「もうひとりの君は、届け物をしにきたと言った」
目を丸くしているサガの内情なんて構わず、アイオロスはサガの手を掴んだまま自分の部屋へとずかずか歩く。引きずられるようにして付いてきたサガは、そのままアイオロスの寝台へ放り込まれた。
「何もしないから、一晩だけここで保管されてくれ」
口をぱくぱくとさせているサガの隣へ、倒れこむようにアイオロスも横になる。何かを訴えているサガの言葉も疲れと睡魔の前では脳にまで届かず、アイオロスはそのまま泥のように眠りに落ちた。
2009/9/25
◆人間だもの…(黒サガにじゃれるアイオロス)
「お前さえいなければ、わたしは神になれたのに」
射殺すような紅い瞳でサガが俺を睨んでくる。もっとも射抜くのはサジタリアスである俺の方の専売特許なんだけどね。
サガが本気の感情を向けるのは、対等以上であると認めた者のみだ。そう思うと、彼の怒りも麗らかな春のそよ風としか感じない。むしろ俺への思いなら、もっともっと口にして欲しい。でも、そんな事を言ったら余計怒らせてしまうのは判り切っているので、なるべく穏やかに優しく返事をする。
「俺には関係なく、サガには無理だと思うよ」
「何だと」
褒めたつもりなんだけど、サガの目つきがいっそう険しくなってしまった。
何でかなあ。そういうサガも可愛いけどさ。
それにしても、一体どうしてサガはそんなに神様になりたいのだろう。
「なあサガ。サガが神様になったら、カノンはどうするの」
「……」
あ。サガの奴、明らかに一瞬詰まったぞ。考えてなかったに違いない。
だいたい、13年前にカノンが水牢から居なくなったから、サガもそんな事を本気で考えるようになったんじゃないかな。だから、カノンが生きているとわかった今、色々と状況も感情も変わっていると思うんだ。
サガは暫く黙った後、ふてくされたように言った。
「二人で神になる」
「もっと無理だろ」
「そんなことはない」
ああもう可愛いったらない。
三流神とかでいいなら、確かに能力上はもう神様レベルにあると思うよ。異次元を自由に開けるような存在を人間と呼ぶのも、ホントはどうかと思うし。心がヒトなら人間なんていうような定義なら、ハーデスやポセイドンだって人間の範疇になってしまうだろうし。
でも、サガは優しいから、地上の守護は出来ても管理は無理だって。アテナもだけど基本、守護だけで管理はしてないよね。人間を信じて自治を任せてくださる。だから他の神様に怒られてる。管理をするのが神様だと思うんだ。アテナは俺の中では神様じゃなくて仲間。だから命をかけられるんだけど。サガだってそうじゃないのか?
守るだけなら人間のままでもいいだろう。俺と一緒に地上を守ろうよ。
「サガは神様に向いていないって」
褒めているのに、やっぱりサガは怒る。どうしてか俺の言葉はサガに伝わらない。それとも実は伝わった上で怒っているのだろうか。
「そんなに怒ったら、せっかくの美人が台無しだぞ」
そう言ったら、返事の代わりに必殺技が炸裂した。
こちらのサガは怒りっぽいのが玉に瑕だと思う。
2009/9/29
◆闘衣箱…(カノン+ラダ世間話)
カノン「鱗衣にもパンドラボックスを採用しようと思うわけよ」
ラダマンティス「パンドラ様ボックスか。いいな」
カノン「…今、何か余計な尊称が付いた気がするんだが」
2006/11/29