JUNKには、ブログなどで勢いのままに書きなぐった小ネタが5話ずつ格納されています。たまにこっそり加筆したり訂正したり。↑OLD↓NEW
◆伝達力…(双子+アイオロス)
「サガ」
朝食後、外出の身支度を整えたカノンが兄を呼ぶ。
サガは頷いて、ただ「判った」と答えた。
そのまま出かけていったカノンを、横にいたアイオロスはサガと一緒に見送っていた。彼はたまたまサガと朝の訓練生指導が重なったため、その後サガから双児宮での朝食に誘われていたのだ。
「意外とあんまり会話しないんだね」
アイオロスがそんな感想を零すと、サガが不思議そうに振り向いた。
「カノンは割合とよく話すほうだぞ?」
「そうか?今だって」
「今日は海底神殿での仕事が遅くなるから、夕飯はいらないと言っていたろう。あと今日は良く晴れそうなのでシーツを洗っておいてくれと。その代わり土産に何か海界のものを持って帰るみたいだ。それにアイオロス…お前に…その、よろしくと挨拶していた」
「ええ!?今そんなに会話してないだろう!」
「言葉は短いが、そう言っていたのだ」
実際には『アイオロスが朝食を食い終わったらさっさと追い返せよ』…というニュアンスのこともカノンはサガに訴えていたのだけれども、流石に本人にはそれを誤魔化したサガである。
「以心伝心というやつか…」
幸いアイオロスはそのような誤魔化しに気づくことなく、ひたすら双子の相互伝達能力に感心し(半分呆れ)ていたのだった。
2008/7/25
◆夏の太陽…(タナvサガ前提でサガと星矢)
「なあサガ、タナトスのところに良く出かけているって本当か?」
双児宮に遊びに来ていた星矢が、突然そのような事を言い出した。
「ああ、時折な」
「何か脅かされてるのか?もしそうだったらオレがやっつけに行くけど」
思いもよらぬ星矢の言葉に、サガは目をぱちくりとさせた。
「な、何故そう思ったのだ?」
「だってあいつ性格悪いじゃん!俺の姉さんも殺そうとしたんだ」
星矢は聖戦時のタナトスの所業を挙げ、頬を膨らませている。
サガはなるほどと納得しながらも、星矢の頭を撫でた。
「それはタナトスが悪いな。もしも今後、そのような真似をまたするようであれば、必ず彼を止めよう」
星矢はプンスカしながらサガを見上げた。
「サガは脅かされているわけじゃないのか?」
「ああ」
「じゃあなんで、あんな奴のところに?」
それは少年らしくオブラートに包まぬ物言いで、サガは苦笑しつつも誠実に答える。
「何となく…かな」
「ええー?」
当然星矢は納得しなかった。
「冥界に行くくらいなら、俺ともっと楽しいところに遊びに行こう!」
サガの手を掴み、返事も聞かずに部屋から連れ出す。サガは目を白黒させながらも、星矢のせっかちなところには大分慣れてきたので、逆らわずに手を引かせていた。
「とりあえず、今日はどこへ?」
「夏だから海!どっか静かな海へ行こう!」
いかに静かな浜辺であろうと、星矢がいれば賑やかになるのだろうなと思いつつ、サガは星矢の手を振り払わなかった。
2008/7/27
◆保護者同伴…(双子+星矢&瞬)
「カノン、そういうわけで今から遊園地とやらへ行く事になった」
突然サガが話しかけてきた。
先ほどまで双児宮へ押しかけていたペガサスとアンドロメダの二人は、いつの間にか帰ったようだ。そういえばさっき挨拶をされたような気がする。ガキの相手は面倒なので、本を読んでいるフリをしておざなりにしか返さなかったが。
「ガキどもとか?あいつら、帰ったんじゃないのか」
「出かける準備をしに、宿へ一旦戻っただけだ」
「そうか、この炎天下にご苦労なこった」
ソファーへごろりと横になろうとしたら、サガがオレの手を掴んで無理矢理引き起こした。
「何を他人事のように。お前も一緒に行くのだ」
「は?なんでオレが」
「話を聞いていなかったのか。先ほど星矢と瞬がお前にも『後で宜しくお願いします』と挨拶していただろう」
「……」
話を聞いていなかったのは確かなので、反論ができない。
「私達は彼らの引率役だ。私が星矢の面倒をみるから、お前は瞬の面倒をみるように」
「勝手に決めるな!大体お前、一般社会のスキルなど無いだろう!むしろ星矢がお前の面倒みるのが目に見えるわ!」
「まるでお前にはそのスキルがあるような言い分だな、カノン」
「当たり前だ。冥界での引率に比べれば、遊園地など楽勝」
「ほぉ、ならば問題なかろう」
乗せられたと気づくも後の祭り、サガはウキウキと外出用の準備をし始めている。サガは子供好きなので、特にお気に入りのブロンズたちと出かけることが嬉しいに違いない。
しかし引率などというが、最終的にオレが三人分の面倒をみることになるに決まっているのだ。
横でサガが当たり前のように聖域支給の軽装服を取り出したのを見て、オレは早速服指導から始める羽目になった。
2008/7/29
◆落としたのは…(女神+サガ+双子神)
「サガ。あなたが池に落としたのはこの銀のタナトスですか、それとも金のタナトスですか」
「金色のほうはタナトスではなくてヒュプノスだと思います。あと私が落としたのではありません女神」
「まあ、正直な貴方には両方を与えましょう」
「…貴女が叩きのめしたんですね」
「ちょっと悪さをしようとしていたところを見つけましたので。事前防衛です」
「…そして私に手当てをしてやれと言っているのですね」
2008/7/30
◆聖櫃の中…(LCネタで双子神)
聖櫃に閉じ込められたタナトスは、後から涼しい顔で封印されてきたヒュプノスを睨んだ
「今回もやる気が無かったようだなヒュプノス」
「そのようなことは無いぞ。ハーデス様の御為に、精一杯尽力している」
「では聞くが」
タナトスは指を突きつける。
「お前の深謀とやらで、アテナの聖闘士を何人始末した?俺はまがりなりにも教皇とキャンサーとやらを道連れにしたが」
「……まあ、細かいことは気にするな」
「何人だ?」
「……」
「ま、まさか一人も!?」
流石に突っ込んだタナトスの前で、ヒュプノスは素知らぬ顔で横になると、数百年のうたた寝とばかり眠り始めた。
「おいコラ!人の話を聞け!!!」
タナトスが声を荒げると、僅かにヒュプノスが金の瞳を開く。
「お前と二人だけで聖櫃で過ごすのも悪くないと思い、適当に切り上げてきた」
「〜〜〜!」
小言の声も失うタナトスの顔に浮かんだのは、呆れなのか、それとも。
言いたい事を述べたヒュプノスは、今度こそ満足そうに目を閉ざした。
2008/8/2