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◆JUNK2

JUNKには、ブログなどで勢いのままに書きなぐった小ネタが5話ずつ格納されています。
たまにこっそり加筆したり訂正したり。↑OLD↓NEW


◆故郷の祭り…(ラダ×カノ)

 今日も相変わらず双児宮デートをしているラダマンティスとカノン。ラダマンティスにとっては、もうすっかり勝手知ったる守護宮内部で、敵地であるのに寛ぎまくっているのだった。
 カノンの部屋の中でふとカレンダーを目に留めた翼竜は、なにげなく言葉を漏らした。
「もうすぐクリスマスか…故郷の祭りを思い出す」
 情人が珍しく昔の話を始めたので、カノンは興味深そうに耳を傾けた。
「俺の生まれた島では、クリスマスに皆でチェーンダンスを踊るのが慣わしだった」
「へえ、アンタが踊るのか」
「子供の頃の話だがな。フェロー諸島では国民総出で熱狂的に踊るのだ。その後も、町内単位で朝まで続けられる。まさに祭りに島が飲み込まれる様相だ」
「なあなあ、踊って見せてくれよ」
「いやアレは…皆でするものであって一人では…先導役もいるし…」
「じゃあオレも一緒に踊ってやるからさ!」
 なんだかカノンは乗り気だった。仕方が無くラダマンティスがその様式を教えてやると、海龍は笑い転げながらも教えられたとおりに身体を動かしている。
「カノン…それではただの地団太だが…」
「アンタだって地団太にしかみえねえ!下手くそ!」
「実際には古謡もつくのだ」
「じゃあそれも歌えよ、合わせるから」

 二人でぶつぶつ呟きながら(一人は歌いながら)地団太を踏んでいると、いつのまにか様子を見に来たサガが無言でそれを見つめていて、遠い目のまま何も言わずに隣室へ去っていった。おそらくチェーンダンスには見えていなかったものと思われた。

 カノンは気にしなかったが、ラダマンティスは落ち込んだ。

2006/12/16

◆初女性教皇補佐…(魔鈴)

 ハーデスとの聖戦後、残されたのは僅かな白銀聖闘士と青銅聖闘士二軍達だった。
 前回の聖戦では、激戦ながら黄金聖闘士が二名生き残ったというのに、今回は全員が命を落としている(もっとも、聖戦開始前にサガの乱により半数となっていたのだが)。
 ハーデス本体をしとめ、ポセイドンは現在眠りについているものの、女神不在の地上を狙う何者かがまた現れないとも限らない。
 早急に聖域の体制を立て直す必要があった。
 そんな中で聖闘士の代表として白羽の矢が立てられたのは魔鈴だった。生存している白銀聖闘士の中では実力がトップクラスであり、その冷静な判断力と洞察力は、混乱期のまとめ役に向いていたのだ。
 さすがに教皇としては実力が不足であり、また教皇は黄金聖闘士からの任命と定められていたことから、女性教皇となることは無かったが、それに次する地位…教皇補佐の代行として、彼女は聖域の復興のかなめとして働くこととなった。
 過去に女性がこの地位に就いたことは無く、異例の大抜擢といえた。魔鈴は周囲の不安と期待に流されること無く、着実に、そして大胆に聖域を改革していった。


「いいかい、この掟は変更だよ。仮面の下を見られたら『愛するか殺すか』ではなくて、『愛するかブチのめすか』だからね!」

 今日も魔鈴は古臭い因習を改変すべく神官に宣言した。景気よく聖域改革を進めていく魔鈴の手腕は、今では誰しも認めるところだが、これには一同首をかしげた。
「愛する…ってのは削除しないんで?」
 ヒドラの市が恐る恐る尋ねてみる。魔鈴はフフンと鼻で笑った。
「古臭い因習で相手を殺すこたあない。相手が迷惑だろう。だからそこは変更する。だからって気を緩めて仮面を簡単に剥がされるような油断や弱さは褒められたことじゃない。何より本来、アテナの聖闘士は男だけだってのを忘れちゃいけない。可憐な女性聖闘士たちには酷かもしれないが、女に戻って愛するのがゴメンだったら、殺す気で相手を倒すことさ」

 それを聞いて、周囲の皆は内心こう思っていた。
(聖域の女性聖闘士は、仮面を取られずとも男をぶちのめすような豪傑ばかりだろ)
 邪武だけこう思っていた
(ちょっとだけ、ぶちのめされてみたいかな…)

 魔鈴はそんな皆の反応を承知の上で、素知らぬ顔で次の裁定に入っている。ただ、魔鈴はこうも思うのだった。
(今生のアテナの様子じゃ、恋愛に興味も出てきたようだし…そのうち女性禁止の発令も無くなって、仮面なんざ付けなくてもいい日が来るかもしれないねえ)

 そして彼女は、未だ行方知れずの沙織と星矢を想い、二人の無事を祈るのだった。

2006/12/20

◆未成年飲酒不可…(超ロス×サガ未満)

 クリスマスに限らず、黄金聖闘士の集まるイベントにおいて、ひとりお酒を飲ませてもらえない14歳のアイオロスは不満でした。
 守護霊守護星にケンタウロスを持つだけあり、彼はお酒が大好きです。
「私の肉体年齢は18才なのだし、良いのではないだろうか」
 と言ってみたのですが、サガにあっさり
「精神年齢が14歳だからね」
 と、たしなめられる始末です。精神年齢基準とは納得がいきません。普通は肉体年齢準拠ではないでしょうか。そこで、
「アルコールと薬物に関する欧州学校調査(European School Survey Project on Alcohol & Drugs, ESPAD)によると、ギリシアでは15〜16才の学生の95%が1回は飲酒を経験しているんだぞ」
 などと抵抗してみたのですが、サガがニッコリ笑って目の前に腰をおろしたので、慌てて謝りました。人間電算機の異名を持つサガ相手にデータ合戦をしても勝てるわけありません。それに、どう言い訳しても違法は違法です。
 また、聞くところによると、この美人の双子座(兄)は説教が大好きらしく、機会あれば何時間でも諭すらしいのです。それも近しい相手になればなるほど手厳しい模様です(情報元カノン)。
 サガとの会話は大好きですが、退屈な説教よりは行き過ぎた友情について語り合いたい年頃のアイオロスでした。

 アイオロスはお酒以上にサガが大好きだったので、発想を逆転させて、こうサガに頼んでみました。
「お酒で酔わせてくれないというのなら、サガが代わりに俺を酔わせてはくれないか?」
 思わぬ反撃に虚を突かれたのか、はるか年上の双子座が僅かに顔を赤くしました。これはいけそうです。
 このまま口車に乗せてしまおうと言葉を紡ぎかけた途端、アイオリアがやってきて
「サケもサガも大人になってから」
 などと標語のような事を言いつつ、サガを持って行ってしまいました。横からカノンが
「大人になっても駄目だがな」
 と突っ込んできます。

 出戻り英雄は、弟たちが妙に大らかさに欠けて育った事を嘆きつつ、
(絶対に教皇になって強権を使いまくり、サガを補佐にして1日中話しまくってやる。デートもしてやる)
 と決意したのでした。

 まだ思考回路が少年なので、強権の方向が伽に向かうことはなく平和です。

2006/12/27
◆人形は過去をトレースする…(ロス・カノン・サガ)

 聖戦後のサガは、反省からか以前にも増して他人に優しく、自分に厳しくなりました。

 改心した弟にも優しくなったので、カノンは最初こそ喜んだのですが、どうもその優しさに壁があるような気がしてなりません。
 昔は自分だけには本音を見せてくれていたのに、今はアイオロスに対するのと同じようになめらかに優しいのです。つまりは他人に対する優しさです。
 自分から兄が離れて行ってしまったような気がして、カノンは寂しくなりました。

 アイオロスもサガに不満がありました。
 蘇生後のサガが昔の友人のようにではなく、なんだか腫れ物に触るように、一歩下がった位置からアイオロスを立てるのです。自分はまだ教皇にもなっていないのに、配下としての態度を崩さないのです。
 昔の内面を見せてくれなかったサガを思い返すと寂しくなりますが、今のようにあからさまに一線を引いた態度を見せられるのも寂しいものです。

 二人はある日サガに詰め寄りました。
「サガ…私としては昔のように、対等に君と話せると嬉しいんだけどなあ」
「兄さん、どうもオレに遠慮していないか?普通に対応して欲しいのだが」
 しかし、詰め寄る二人を見ても、サガは二人の言っている意味が全く判らないようでした。
 首を傾げつつも、それぞれへこう答えたのです。

「アイオロス。私は君を殺しているのだから、今度は私が君へ命を捧げなければならない筈だ。対等というのならば、君が私を殺してくれれば、均等がとれて丁度良いのだけれども」

「カノン。私はお前を1度罰している。あの時の判断は間違っていないと思うが、私にその資格は無かった。だから私はお前に優しくしなければならないのだ」

 以前のサガと似ているようでいて、全く異質な返事に二人は驚きました。
 サガの面差しは相変わらず優しいのですが、その返事には心が無く、二人への態度は贖罪という理由からだけのもので、友情や愛情どころか謝罪の気持ちですらなかったのです。

 そうして、二人はようやく気づきました。目の前の人間が、もうサガではないことに。
自殺した者の心までは、神も蘇生は出来なかったのでした。

 その日再び、サガではないものによって、二人の心は切り刻まれ、捨てられたのでした。

2006/12/31

◆勇者と英雄は異なります…(ドラクエ3パロディ)

〜魔王征伐パーティー〜
勇者セイヤ(真名アイオロス)
魔法使いシオン(さびしがりや)
僧侶サガ(頭脳めいせき)
遊び人カノン(あまえたがり)

「兄さんは何で星矢にばかり成長アイテムを使うんだ、贔屓だろう!」
「遊び人のお前に使うアイテムなどない。星矢は勇者なのだから力を付ける必要があるのだ」
 もっともらしい理屈ですが、実際、サガはヒヨッ子勇者の星矢にメチャメチャ優しいのでした。星矢の方も遠慮することなくサガにベタベタと懐いています。本当は自分が甘えたいカノンはそれが気に入りません。戦闘はサボって寝ていたりするくせに、わざと自分で怪我をしたりしてサガの気を引こうとしています。
 そもそも、本来のメンバーは戦士のシュラであったのですが、カノンは勝手に傭兵申し込み用紙を書き換えて自分がくっついてきてしまったのです。後々カノンは改心して賢者へとクラスチェンジするのですが、今の段階では単なる足手まといです。…本来は。

「あの小僧に力なんて付けなくたって、その気になればオレ達だけで世界制覇できるだろ」
 ぶっちゃけ、いきなりラスボス討伐に向かっても良い高レベルメンバーでした。カノンが戦わなくても余裕です。
「サガとカノンがそうしたいなら、世界征服に切り替えてもいいなあ」
 星矢も星矢でいい加減です。
 最初の勇者適正テストで村人に話しかけようとして間違えてうっかり殺してしまい、ものはついでと村の住人全員を子供に至るまで殺戮してしまっただけのことはあります。でもあのテスト、攻撃体勢と会話体勢が一緒ってのが良くないよね。知らないと会話するつもりで殺しちゃうよね。
「星矢は頼もしいな」
 サガは相変わらず星矢が何をしても良いほうへ受け取るのでした。もちろんカノンが直ぐに横から突っ込みをいれます。
「兄さん、そこはニコニコ褒めるところじゃないぞ」
「星矢は幸運値が9しかないのに頑張っているのだ。お前の無駄に85もある幸運値をわけてやれ。だいたい、お前が戦闘中に呼ぶ遊び仲間とやらは1度も来てくれたためしが無いではないか、役立たずめ!」
「いや、世界征服するならオレも本気で頑張るが」

 話を聞いていたシオンは、三人まとめて卓袱台返ししておきました。
 この三人がこの調子なので目付け役として付いてきているのです。大体この三人、盗賊の鍵などなくても、必殺技の一発でもぶっ放せば壁を壊せます。ルーラなんぞ使わなくても世界各地へ飛び放題です。ただでさえ他人の家のタンスを勝手に荒らすことで評判の悪い勇者一行なのに、このパーティーの評判の良いところは顔だけでした。

 魔王よりもこの三人を旅の間に更生させねばとシオンは頭を抱えました。

2007/1/3


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