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◆2011-JUNK8

JUNKには、ブログなどで勢いのままに書きなぐった小ネタが5話ずつ格納されています。たまにこっそり加筆したり訂正したり。↑OLD↓NEW


◆タッグミッション…(PS3聖闘士戦記ネタ)

「シュラ、わたしのパートナーになってくれないか」
「…………えっ?」
 既にサガが星矢のパートナーになっていることを知っているシュラは、目を白黒させた。
 確かに訓練用のパートナーは誰と組んでも構わないことになっており、別に咎められることではない。しかし、サガが15歳年下の後輩のことを非常に目にかけていることは周知であったし、そのこととは別に、いまのサガの笑顔から何ともいえない身の危険を感じ取ったのだ。
 ことサガの件に関して、シュラの予感はよく当たる。長い付き合いなのである。
 サガはきらきらした笑顔のまま、さらに頼み込んできた。
「お前の真央点を確認したいのだ」
 とんでもない事をさらりと言う。真央点を突くと、瀕死の状態でも人は蘇る。しかしそれを確認したいということは、つまり瀕死の状態になることが前提なのだ。
 善悪統合したサガは、ニ人格の価値観を強引にまとめあげているため、時々とんでもないことを言い出すことがあった。統合の副作用のようなもので、これは互いの人格が馴染むまで長い目で見るしかない。
「無論わたしが倒れた時は、逆にシュラにわたしの真央点を突いてほしい」
「………」
 珍しくシュラが即答しないのは、サガの身を案じてでもある。
 話を聞けば、ようするに二人でわざとボロボロになり、極限時での相性や対応をシミュレーションするのが目的のようだ。サガは抜群の耐久力を誇るせいか、自分の身をあまり大事にしない。黒サガならば自分を大切にするが、それでもミッション程度の訓練であれば危険と認識しないのだろう。
 考え込んでいるシュラの手をサガがとった。
「駄目か?お前が望まぬのなら、諦めてアフロディーテに頼みにゆくが…計画をたてたとき、最初に思い浮かんだのがお前の顔なのだ」
「…サガ」
 最初に、という言葉にシュラは揺さぶられた。
 こういうとき、誰よりも先にサガが頼る相手が自分であることを、シュラは罪悪感とともに誇りにもしていた。13年前にもサガは、最初にシュラを恃んだのだ。サガのなかで、他の誰でもなくシュラが一番を担う部分がある。その領域において、シュラは「否」と答える選択肢をとる気はなかった。
「わかりました」
 揺らがぬ目で答えたシュラへ、サガは嬉しそうに信頼の目を向けた。

 だがシュラは知らなかった。ミッション慣れしたサガは、既にシュラの体力を大幅に上回り、倒れ伏すこと自体が非常に困難な状態であることを。
 バーストガードで自ら体力を減らしまくり、わざと相手の拳の前へ飛び出しても、サガは無意識にセブンセンシズを発動させて無効化させてしまう。シュラが味方のはずのサガの必殺技で幾度となく転がるのに比べ、サガは泣きたくなるほど丈夫だった。

「サガ。俺が倒れた時に声をかけてくれたの、最初だけじゃないですか?」
「…すまん、自分がやられるのに夢中になっていて」

 しかも、その最初の1回の台詞が「転がっていろ」なのだ。
 ようやくサガが倒れた時に真中点を突いたシュラのことばが、多少そっけなくても仕方がなかった。
 ミッション後、微妙にへそを曲げたシュラは、サガが自分の取得した分の経験値を渡してなだめても、しばらく機嫌を損ねたままだった。


2011/11/4
キャラを二人選び、その二人で守護宮などを突破するミッションがあるのですが、片方が戦闘不能になると真央点を突いて復活させます。その時、最初の1回だけ台詞をそれぞれ言うのですが、組合せによっては専用台詞を言うので、サガでいろんな相手をひっかけて戦闘不能にするというプレイを暫くする羽目に。おかげで戦記サガは『(死の)神のような男』と皆に恐れられるのでした。
◆今生の別れ…(PS3聖闘士戦記ネタ)※カノンミッションのネタバレ有注意


『ククク、良かったのか?あのまま返して』
 双子座の心に巣食う闇が哂った。今は善を担う側の精神がサガの前面に出ている。13年の歳月を経て、彼を分かつ境界線は、このところ更にくっきりと精神を分断し、それでいてその断面は爛れ、歪むようになっていた。
「海将軍を聖域に入れることなど、許されぬ」
 女神を迎え撃とうというこのときに、海将軍が聖域へと侵入をはかったのだ。
 白羊宮の守護者はいまだ招集を無視しており、そのために海将軍は最初の宮へやすやすと入り込んだ。ひそやかに、雑兵たちは誰一人として気づかぬままに。
 けれどもサガだけは気づいた。
 その相手がサガの半身…死んだと思っていた弟のカノンであったからだ。
 サガは単身で白羊宮へ飛び、カノンへ幻朧魔皇拳を放ち、そしてそのまま放逐した。
 カノンは幻のなかで十二宮を駆け抜けサガを倒したものの、それはただの時間の浪費であり、その結果、カノンから聖域突入の機会は失われた。
 教皇の仮面を深く被り、顔を隠したサガは感情を見せない。
 対して、内面の声は楽しそうだ。
『あの小娘を迎え撃つ前に、兵を減らす愚も避けたいしな』
「そして、万が一にも、あの海将軍の顔が晒されることがあってはならんのだ」
 全ては細心の注意を払って隠されなければならない。女神が聖域へおわすまでは。万端の準備を整えて待つこの空間を、海界などに荒らされてなるものか。
『だが、お前は、あの男にあれほど会いたがっていたではないか』
 面白そうに闇は嘯く。この闇はカノンの囁きによって生まれたためか、彼に好意的ではある。ただし、野望の邪魔をしないという前提において。
「別れは13年前に済ませた」
 サガは玉座の背に身体をもたせかけ、小さく息を吐いた。もう終わったことだ。
 おそらく自分たちは、このまま死ぬまで合間見えることは叶わぬだろう。
 それでも、海将軍として訪れた弟には、会うわけには行かなかったのだ。
 死んだと思っていた弟が生きていた。それだけで充分だ。
(幻のなかででも、わたしに勝つことが出来たのだ。満足だろう?)
 白羊宮で怒りのまま叫んでいた弟の顔を脳裏に浮かべる。
(カノン、悪の道を進むお前のことを応援することは出来ない。だが、せめてこれからは自由に生きよ)
 まだなにか話しかけてくる闇を無視して、サガはそっと目を心を閉ざした。


2011/12/22
弟に幻朧魔皇拳をかけた時点で、海将軍を辞めさせる事も殺すことも出来たのに、敢えて幻影のなかで自分を倒させたサガ。その優しさはとても残酷ですが、そうするしかなかったゲームサガに悶えます。
◆年末大掃除…(双子+陸海雑兵)

 刺すように冷たい朝の空気が、吐く息を白ませる。けれども空には雲ひとつなく上天気だ。高く昇りゆく太陽が大気を緩ませていく。
 絶好の掃除日和だった。
 カノンは大きく伸びをしたあと、髪をあげて縛った。今日は手伝いの雑兵たちも来てくれる。年に1度の大掃除の日なのだ。サガは既に宮の表広間の方へ出向き、雑兵たちに掃除場所やゴミの分別についての采配をふるっているはずだ。カノンの役目は宮内施設の修繕チェックと、出向いてくれた雑兵たちへお礼代わりに振舞う食事の準備である。
 皆が集合しているはずの広間へ、カノンは自分も足を向けた。下ごしらえを始めるにあたり、食事の必要な人間を確認するためだ。小宇宙と気配で人数は判るが、巨漢が多い場合には食材の微調整も行わねばならない。
 そこに居たのは見慣れた顔ぶれではあった。大掃除にかこつけて双児宮の中を堪能したいサガファンの雑兵たち、カノンの手料理目当ての雑兵たち、そして正規に手配された本来の雑務要員たち。双児宮は左右のニ宮に分かれているため意外と広く、常に小奇麗にはしているものの、掃除には手間がかかる。
 想定していたよりも多くの人員が集まっているなか、確認中のカノンの視線が一角で止まった。この場に居てはならないはずの人間がいたのだ。それも何人も。
 聖域に居るはずの無いその者らは、海界の雑兵たちだった。
 思わず反射的にサガの顔を確認してしまう。兄が気づいていない筈はない。何せ堂々と海界の支給服を着ているのだ。当人達はカノンの焦りなど気づきもせず、平気な顔をしてサガの説明に耳を傾けている。
「おい、何故お前らがここにいるのだ」
 詰問口調になったのは仕方がない。聖域の雑兵が十二宮へ入ることとて特別扱いなのである。他界の兵士が入って許される場所ではない。
 丁度サガの説明の区切りだったこともあり、全員がカノンの方をみた。
「カノン、入宮の許可はわたしが出した」
 サガが穏やかな声で口を挟む。
「サガよ、海将軍を兼任しているオレが言うのも説得力がないだろうが、こいつら海闘士だぞ。いいのか」
「白羊宮と金牛宮には話を通してある。地形を覚えられぬよう五感を絶った上でここへ連れてきた。双児宮の内部は知られてしまうが、知られたところでここは幻惑の宮。戦時の際には通れるものではない」
 一応、最低限の対処はした上での融通らしい。
「それにしてもこんな堂々と。衣服とて海界のもののままではないか。せめて聖域の服を貸してやるとか…」
「カノン。わたしは彼らを信じているが、衆目の集まる方が、不都合あるまい」
 聖域の雑兵服にさせて区別付かずにしてしまうほうが、万が一の際によろしくない。常に誰かから見られているという状況のほうが悪さもしにくいだろうということだ。
 それでも微妙な顔をしているカノンへ、海闘士たちが次々と訴えた。
「カノン様あんまりではないですか」
「そうですよ、聖域の者ばかりずるいです」
「俺たちとて貴方様に仕える身だというのに」
 訴えられたカノンは、何のことか分からず戸惑う。
 海闘士たちは続けた。
「聖域ではカノン様の私室を掃除できるだけでなく、手料理まで振舞ってもらえるとか」
「いらなくなった備品や私物を下げ渡してもらえると聞きました。北大西洋宮の掃除は本当にただの仕事場の掃除で、そもそもカノン様の私物なんてほとんど無いじゃないですか」
「だからサガ様にお願いして、大掃除に参加させてもらったのです」
 集まった海闘士たちは海界でのカノンファン一同だ。聖域でのカノンの住居を見学し掃除を手伝い、その上でカノンの私物が払い下げられるのであれば是非とも入手したい…そんなディープなファン達なのだ。
 聞いたカノンは頭を抱えた。そんな理由で他界の中枢へ入れろなどと、雑兵ごときが図々しく頼み込んだのかと思うと、海界責任者の筆頭として非常に恥ずかしい。海界の教育体制はどうなっているのかと思われても仕方がない上、原因は自分だ。
 叱っておかないと聖域に対して示しがつかない…そう口を開きかけたとき、サガの気配が変わった。
「カノン、わたしが許可を出したと言った」
 よくとおる玲瓏な美声はそのままに、髪の色が黒く染まっていく。もうひとりの、闇のサガだ。
 海闘士たちを庇うかのように出てきたサガに、カノンは目を丸くする。
「その者たちが頼んだというよりも、話を聞いてアレが招待したのだ。常日頃、お前の兄であるとはいえ黄金聖闘士であるこのサガを、海界の中枢で自由にさせている海界への感謝としてな」
 実際にはきちんと監視がついているし、なにより海神が目を離さない。それでも海界への出入りは自由なうえ、黄金聖闘士としてではなくカノンの兄として扱われる。
 サガが海界へと訪れることを許しているのに、ここで手順を踏んだ雑兵の聖域入りを叱るのは矛盾するし、体面についてはサガが「海界の懐の広さ」としてフォローしたので問題ない。
 カノンは肩の力を抜き、仕方ないという面持ちでサガに答えた。
「おまえな、感謝の気持ちで呼ぶ連中に掃除させるなよ…昼飯を豪華にしなきゃならなくなったろ」
「そうだな、すまぬ」
 口元だけで笑っている黒サガの顔には、詫びの色などまったく見えない。食事が良くなる発言により、周囲では歓声が沸いた。
「そういやサガ、お前は掃除のことまで海界で話してるのか?」
「いや、わたしは話しておらぬ。既に知っていたようだったゆえ、お前が話したのかと思っていたが」
 二人が顔を見合わせてから海闘士たちの方をみると、今度は聖域の雑兵たちから声が上がった。
「あ、それは俺たちが話しました」
「なに」
「海界でのカノン様の情報と引き換えに、聖域でのカノン様の様子を伝えてます」
「……」
 声を上げた雑兵たちは、聖域のカノンファングループである。一歩間違えば機密漏洩っぽくも聞こえるが、これはいわゆるファンネットワークという物に違いない。
 互いの界の諜報部隊より情報の早そうなファン情報に、そして和平を結んでいるとはいえ知らぬところで進んでいる聖域と海界の雑兵交流に、双子も苦笑するしかなかった。
「では、始めるとするか」
 黒髪のサガの合図とともに、一同は担当の場所へ散っていく。
 昼食メニューの変更を余儀なくされたカノンは、聖域の食料倉庫へ向かうことにした。双児宮の食材だけでは足りそうにない。だが足どりは軽かった。
 風はまだ冷たかったけれども、陽射しは暖かい。
(いい日だな)
 とカノンは思った。

2011/11/13
◆神のしごと…(双子神)


タナトス「寝てばかりいないで仕事をしたらどうだヒュプノス」
ヒュプノス「…眠りの神は眠るのも仕事だ」
タナトス「死の神であるオレは死ぬのが仕事か。誤魔化さないで仕事しろ」
ヒュプノス「仕事はしている。万物へ眠りをもたらすと言う仕事を。聖戦準備のほうは趣味だ」

2011/2/20 格納しそこねてましたので追加
◆アフロディーテ誕…(魚とサガ)


「アフロディーテ、よければスシを食べに行ってみないか。わたしが奢るゆえ」
 尋ねてきたサガがそのように言うので、アフロディーテは冷静に突っ込んだ。
「それはもしかして私が魚座であることと関係するのだろうか」
「……まあ、そうだ」
「シュラのときは山羊づくしだったと聞いています。デスマスクの時に蟹の食べ放題へ連れて行くなどと言い出したら、彼はきっと泣きますよ」
「そ、そうだろうか」
 実際には、サガの奢りで出かけるとなったら、デスマスクが文句など言うはずもないのだが。アフロディーテは外出用の外套を羽織ながら、悪戯っぽく微笑んだ。
「私はむしろピラニアとして、目の前のご馳走を骨まで食べつくしたいですね」
 サガは不思議そうに首をかしげる。
「すまぬ、今は食べ物を持っていない」
「貴方はどうして自分のこととなると、そんなに鈍感なのですか」
偽教皇時代にはとうてい許されなかったぞんざいな口調で、アフロディーテはサガの腕へ自分の腕を絡ませた。

2011/3/11 これも格納しそこねてましたので2011年の最後に(>ω<)

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