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◆2009-JUNK1

JUNKには、ブログなどで勢いのままに書きなぐった小ネタが5話ずつ格納されています。たまにこっそり加筆したり訂正したり。↑OLD↓NEW


◆うし年…(謹賀新年挨拶ロス&サガ&星矢)


「あけましておめでとう!」
 澄み渡った空へ新年の陽が昇った頃、星矢が双児宮へ飛び込んできた。
 例年のごとく、女神への年始挨拶へ向かう十二宮突破の途中らしい。
 手には年賀状を持ち、その年賀状には牛のイラストが描かれている。
 昨年に日本における正月と干支の知識を得ているサガは、穏やかに新年の挨拶を返した。
「おめでとう星矢。今年も宜しく頼むよ」
「サガもカノンも今年は仲良くな!」
 そんなありきたりで平和な会話を交わした後、星矢がニコニコと告げる。
「今年は丑年だから、牛式挨拶でいく」
「牛式?」
「うん牛式。…ぎゅう」
 言いながら星矢はサガの腰に抱きついた。
 子供らしい駄洒落に笑みを零したサガも、同じように真似をして星矢の頭を抱きしめる。
 星矢はカノンの腰にも平等に抱きついて頭を軽く小突かれると、慌しく次の宮への階段を駆け上っていった。

 当然それを聞いたアイオロスも、牛式挨拶をサガに要求した。
「力いっぱい牛式でお願いしたいね」
「そうか、判った」
 ニコリと笑い返したのは黒髪のサガだ。
 了承しながら指を鳴らしている黒サガの様子を見て、嫌な予感を覚えたアイオロスは咄嗟に後ずさる。次の瞬間、光速で首に伸ばされようとした黒サガの両手はアイオロスの両手で封じ返され、典型的な千日戦争の姿勢となった。
 アイオロスは双方動けぬその姿勢のまま、ぶつぶつ不満を零す。
「サガ…いま『ぎゅう』という単語を、首を絞める擬態語として使おうとしたろう」
「一声と言わず十声くらい使ってやろうと思っていたぞ。遠慮はするな」

 ゴゴゴという音の聞こえてきそうな二人の千日戦争を、呆れたようにそれぞれの弟が眺めている。
 カノンとアイオリアは、兄達の迷惑なコミニュケーションで始まる元旦が、今年の象徴とならぬよう心の中でこっそり祈った。

2009/1/1
◆預けあわない…(ロス&黒サガ※エピG技が出てきます)


 関係改善のため、二人一組で任務に送り出された黒サガとアイオロスだったが、現場へ着くまでの間も話しかけるのは一方的にアイオロスであり、黒サガは相変わらず冷たい視線を返すのみだった。
 それでもきちんと二人で任務に赴いただけ、以前よりはマシな方である。
 前回の魔獣討伐の時など、黒サガが一人で先に現場へ向かった挙句、さくっと魔獣を異界へ飛ばして片付けてしまい、ちっとも親交の役には立たなかったのだ。
 今回はその二の舞にならぬよう任務の難易度を上げ、女神がじきじきに見送るという手はずをシオンが整えた。
「二人で協力して事に当たって下さいね」
 流石の黒サガも女神の意向には従うしかなく、しぶしぶアイオロスと共に聖域を出たというわけだ。
 アイオロスの方はといえば、黒サガの仏頂面を気にすることなく、むしろ機嫌が良さそうにみえる。
 返事がなくても変わることなく語りかけ続け、黒サガの方がついに根負けして溜息をついた。
「貴様は私までとりこむつもりか」
「仲良くなるつもりかって意味なら、そうだよ」
 アイオロスがニコリと笑う。
「互いを知るには一緒に戦うのが一番だと思って、前からずっとシオン様に共闘の機会を作ってくださるようお願いしていたんだ」
 その言葉を聞き、黒サガはふー…と深く息を零す。そしてますます嫌そうな顔をした。
「…この茶番は貴様の差し金か」
「ああ。今回の敵はヒュドラの群れだから、少し面倒だよ。一緒に頑張ろうね。君の背中は俺が守るから」
 『今度のマラソン大会は一緒に頑張ろうね』的なノリのアイオロスに、黒サガは冷たく言い放つ。
「良かろう。だが貴様の背中は預からん」
「ええっ、何だそのケチな言い分は」
「切り落しても直ぐに頭を再生させる多頭蛇ヒュドラが何十匹いようが、お前のインフィニティ・ブレイク…光の千の矢で全ての頭を同時に射落として、首を焼いてしまえば問題なかろう。私の力が必要とは思えんのだが」
 冷たくあしらわれたものの、何気なく自分の実力を認められていることに気づいてアイオロスは目を丸くした。
 そして黒サガが自分の発言の意味する所に気づいていないようだと見て取り、ひそりと内心で満足げな笑みを浮かべる。
「判った。では俺が片付けるから、サガは見ててくれ」
「は?」
「前回は君が一人で片付けてしまったからね。今回は俺が戦うよ」
 黒サガは怪訝な顔をしたものの、楽が出来るのであればそれで構わないらしい。フンと鼻を鳴らして了承の返事とした。

 現場に到着し、次々と集まってくるヒュドラの一群を前にしても、黒サガは動じることなくアイオロスへ伝えた。
「お前が倒されても手を貸さぬからな」
「ああ」
 アイオロスもまた、全く怯む様子はない。
 それどころか敵を目の前にして、ニコニコと黒サガを振り返った。
「背中どころか全部を守らせてくれるなんて嬉しいよ。後ろで俺の応援をいっぱいしててくれ」
 思いもよらぬ言い分に、今度は黒サガが目を丸くする。
「だ、誰が貴様に守らせているだと!?」
「大丈夫、一瞬で終わらせるから」
 意思疎通のない会話をしながら、アイオロスは小宇宙を高めていく。
 そして、襲いかかってきた魔獣たちへ向けて、光の矢の雨が降り注いだ。


 あとで勅命の報告を聞いたシオンは、まだ難易度が足りなかったかと額に手を当てた。黄金聖闘士の頂点ともいえるアイオロスとサガの二人を揃えて苦戦するような敵は、聖戦後にはなかなかいるものではない。
 目の前で膝をつき報告を続ける笑顔のアイオロスと、苦虫を噛み潰したような黒サガを見て、此度の目論見が成功したのかそうでないのか悩むシオンなのであった。

2009/1/6
◆裸族仲間…(黒サガ+翼竜※LCネタを含みます)


 アイアコスの管理する飛船型空中要塞の中で、珍しい人物が歩いているのを見かけたラダマンティスは目を丸くした。
「サガ、何故お前がここに?」
 それも黒髪のほうのサガである。
 一瞬、アンテノーラの主であるアイアコスが、他の三巨頭の了承も得ず秘密裏に聖域との外交を先走ったか…と思いかけたものの、彼はそのような策謀を巡らすタイプではないと思い直す。
 もしサガの関わるロビー活動であれば、このようなところで尻尾を捕まれるようなヘマはありえないだろうし、粗末な聖域の支給服を着用しているところを見ると、正式な外交などではなく、ラフな私用のようだ。
 しかし、そうなると尚更に黒サガとアイアコスの繋がりが判らない。

 声を掛けられた黒サガの方は、何の感情の色も見せず振り向いた。
「お前こそ何故ここに。三巨頭はそれほど親交深いと聞いておらぬが」
「俺はパンドラ様の書状を届けに来ただけだ」
 大切な書状であり、部下に任せるわけにはゆかなかったため直接訪れたアイアコスの要塞で、まさかの奇遇であったというわけだった。
 律儀に答えたラダマンティスに対して、サガも偽るつもりは無いようだ。
「私はベヒーモスの招きに応じただけだ」
「バイオレートが?」
「ここには教皇宮に負けぬほどの上質な湯場があると聞いた」
「…初耳だ」
 軍人気質のラダマンティスは、冥闘士たちの能力や名前はくまなく把握していたものの、他軍の生活施設に関してはそれほど詳しくない。また、バイオレートが何故サガと親交があるのかについても首を傾げるばかりだ。
 その疑問へ答えるようにサガが口を開いた。
「カノン島の溶岩地帯にある天然の露天風呂で知り合ったのだ。まさか最初は互いに聖闘士と冥闘士とは思わなかったがな…以来、温泉情報交換などをしつつ、共に風呂を楽しむ仲だ」
「あの噴煙立ち込める危険湯治場でか…」
 ラダマンティスは遠い目になったが、興味のない事なので直ぐに流す。
 理由さえ判れば、双子座の兄のプライベートなどどうでも良かった。
 黒サガ側も翼竜へ同様の感想を持ったらしく踵を返した。
「では失礼する。たまには愚弟に会いに聖域へ顔を見せろ」
「余計な世話だ」
 そんな会話で通り過ぎかけ、ふとラダマンティスは思い出す。
「ちょっと待てサガ」
「何だ」
「バイオレートは女だったと思うのだが」
「それがどうしたのだ」

 何故呼び止められたのか1ミクロンも理解していないサガに向かって、ラダマンティスは怒鳴った。
「当たり前のように冥界管轄の浴場を混浴にするな!!!!」
 しかし、サガは逆にラダマンティスへ眉をしかめた。
「そんなことか。私もあの女も気にせぬが」
「事情を知った上で放置した事が知れたら、俺がカノンとアイアコスに後で八つ裂きにされるわ!!!大体お前、女神との入浴の時には水着をつけさせたという話ではないか!」
「バイオレートは戦士だ。女扱いする方が失礼だろう」
「うっ…」
 サガと話していると、まるで自分の方が間違っているかのような錯覚に陥りそうになる。ラダマンティスは慌ててアイアコスとカノンへ、黒サガ説得の為の応援要請小宇宙を飛ばしたのだった。

2009/1/15
ブログからSSを移動するとき、こっそり場所をアンテノーラから空中要塞へ変えました(>ω<)
バイオレートも冥界で冥衣脱げるだけの小宇宙はないという判断で…(この設定忘れてました…フ…)

◆悪気はない…(前「獅子+天孤星+アイコ+射手」※LCネタです)


「バイオレートって胸がないから最初男かと思った」
 ほがらかに言い放ったレグルスに悪気は無かったものの、バイオレートのこめかみにはピキリと青筋がたった。
 ちなみに胸が無いというのは『ベヒーモスの冥衣』に関してなのだが、さらりとそれは省略されている。
 レグルスは怒りの視線に気づく事もなくさらに言い募る。
「あとベヒーモスって鳥じゃないよな?獣だよな?大地を踏みしめる足があるのに、片翼なんて言われて、他人の力で飛んで嬉しいのか?」
 くどいようだが悪気は無い。地の獣王たるレオの星を持つレグルスにとって、己自身の足で大地を駆けることこそが誇りなのだ。
 びきっ。
 完全にバイオレートの戦闘スイッチが入った。
「このガキ…」
 レグルスの頭を掴んでぎりぎりと力を込める。
「ちょ、ちょっと?オレは戦う気はないんだけど?」
「それだけ喧嘩を売っておいて、そのような言い分が通用すると思うか!」
 そんな二人をアイアコスとシジフォスが遠くから半分呆れ、半分楽しそうに眺めている。
「あの子獅子はなかなか面白いな」
「カバの冥闘士の人も、なかなか可愛いよ」
「カバではなくベヒーモスだ!せめて犀と呼べ!」
 どこかペット自慢にもにた二人の会話を、さらに遠くからラダマンティスが呆れたように(関わらないように)眺めていたのだった

2009/1/23
◆常春…(駄目双子)


 常春の園に腰を下ろし、野の花を摘み取って妹神アテナの髪に飾ってやるアベルを、離れた場所から眺めていた本日の護衛・サガとカノンは、どちらともなく笑みを零した。
「神であろうと家族への愛情は人と変わらぬのだな」
 とサガが言えば
「アテナも戦いの連続だったからな。家族と寛ぐ時間があるのはいいことだ」
 とカノンも応じる。
 サガがふと溜息を零した。それを見咎めたカノンが尋ねる。
「どうした」
「私たちもあのように過ごしてみたい」
「…サガよ」
 今度はカノンが溜息をつく。
「お前が今摘んだ花を捨てたら考えてもいい。形まで真似することは無い」
「そうか?似合いそうだと思ったのだが」
「お前の方が似合うと思うが、もう脳に花が咲いているようだから必要ないな」

 護衛の最中なのに始まった喧嘩(他人からみると犬も食わぬじゃれあい)を見て、『これだからアテナの聖闘士は』と、太陽神側の護衛・コロナの聖闘士たちが呆れたのは言うまでも無い。

2009/1/26

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