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◆射手誕2008

1. ロス誕(ロスとサガのうさ耳注意)
2. 星矢誕(星矢とサガ)


ロス誕…TEXT−MAIN頁「さびしくても死なない」の続き

「どういう事か説明してもらおうか」
サガがアイオロスに静かに問いかけた。
語調は静かだが背後に沸き立つ小宇宙には深い怒りが見て取れる。
慈悲深い神のような男も、今のアイオロスに対しては遠慮が無い。
実際には過去の負い目もあり、何か対立するような場面があったときには無条件でアイオロスに折れるつもりでいるサガなのだが、それは真面目な用件に限る。
「いや、その、前回俺だけ見れなかったから…アイオリアには見せておいてずるいじゃないか」
「見せに行ったのではない!教皇宮へ上がる途中に獅子宮があっただけだ!しかもそれは私ではなく、もう一人のアイツだ!そもそも何がずるいのだ。そんな理由で女神にこのようなくだらぬ事を頼み込むなど、教皇候補のすることか!」
「くだらなくないぞ!俺だってサガのうさ耳姿を見たかったんだ!」
 子供のケンカと変わらない口論の原因は、サガに頭に揺れる兎耳。
 以前、女神による『サガ&アテナのイメージアップ戦略』の一環として、黒サガと女神(そしてトバッチリを受けたカノン)がうさ耳を生やしたことがある。その時アイオロスは任務で聖域を留守にしており、半日で終了したキャンペーンの恩恵(?)に預かる事はできなかったのだ。
 そのため、アイオロスは誕生祝いの贈り物として、女神へ「うさ耳のついたサガ」を頼んだのであった。
「メイド服姿を頼む事だって出来たのを我慢したんだぞ!」
「馬鹿かお前は!!!」
 怒鳴るサガは怒りのためか黒サガ成分がかなりまじり、統合サガ化してきている。
「お前がそのつもりならば、このサガも女神に謹上再拝奉る!お前の頭にもうさ耳をつけるようにな!」
「俺は構わないよ。その代わり君の耳を存分に触らせてくれる?」
「何だと!?」

 そんなわけでアイオロスの誕生を祝いに人馬宮へ訪れた雑兵や聖闘士一同は、そこでうさ耳を揺らしている身長190センチ近い男二人を見る羽目になり(しかも片方は不機嫌に物凄い威圧感を放っており、本日の主役は耳を絡ませる勢いでサガへ顔を近づけている)例外なく遠い目で帰る羽目になったのだった。
(−2008/11/30−)

白ウサガ耳はぴんと立った雪色、統合サガはロシアンブルー(猫)色、ロスは茶系の垂れ耳という腐設定。
星矢誕


「誕生日おめでとう星矢」

 かつて偽教皇として敵であったサガが、こうして尋ねてきてくれるだけでなく、誕生日まで祝ってくれるのは何となくくすぐったい。ギリシアには誕生日を祝う習慣は特に無いので、きっと日本生まれのオレにあわせてくれているんだと思う。
「何か欲しいものはないか?あまり高価なものは買ってやれないが、私の懐の範囲内であれば、先輩顔をさせて欲しい」
 あんまりニコニコとそんな事を言われると、遠慮するほうが悪い気がして、何か欲しいものがあったろうかと考えてみるも、特に思い当たらない。孤児院(いま日本ではそう言わないらしい)にいた頃は、世間の他の子供達と自分を比較していろいろ欲しがった記憶もあるが、今はロドリオ村での姉さんとの生活に満足している。聖闘士全般にいえることだけど、生活必需品以外は贅沢品という感覚に慣れてしまったし、実際不足するものがあるとも思えない。
「ええと…うーんうーん、あっ、そうだ。どうせなら姉さんに何かアクセサリーとか欲しい。姉さんは年頃なのに、お金が無いからって遠慮して買わないんだよ」
 サガは趣味良さそうだしとお願いしてみたら、苦笑された。
「却下する。星矢が自分用の物を貰うより喜ぶ事は判るのだがね」
「駄目かな?」
「駄目だな。まず誰から貰ったのか星矢のお姉さんが尋ねられた時、どこの馬の骨とも判らない男が買ったプレゼントだ…などという返事をする羽目になるのは、星矢のお姉さんが困るだろう?お姉さんには星矢がお金を貯めて買ってあげたほうが、喜ばれると思うぞ」
「それもそっか」
 サガはどこの馬の骨とも判らない男ではないと思ったが、言ってる内容はその通りなのでオレはまた悩む羽目になった。
「うう、でも咄嗟に思い浮かばないんだよ」
「ゆっくり考えてくれ」
 サガはふんわり笑って来客用の椅子に寛いでいる。サガが居ると言うだけで、このボロ屋が王宮のように華やかな雰囲気になっている。今日のサガは黄金聖衣ではなく、質素な外出用の法衣だが、聖衣を着なくたってサガは目立つのだ。
 これだけ綺麗なくせに、サガは本質的に王者でもあるし、戦士でもある。すっごく強いのだ。完璧超人だと思う(二重人格だけど)。
 そうだ、聖闘士として、後輩としてなら希望はいっぱいあったっけ。
「物でなくてもいいかな」
「どんな事だろう」
「オレがサガを尋ねた時は、時間をとって稽古をつけて欲しい!」
 そういうとサガは目をぱちりと瞬かせた。
「それは頼まれずとも、いつでもそうするつもりだ」
「えっ、そうなの?」
「お前と女神は私の中で最優先順位を持つ。稽古などいつでも付けるので、他の物を考えて欲しい」
 カノンやアイオロスも最優先の中に含まれてるだろーとこっそり思ったが、サガは自覚していなさそうなので突っ込みは控えた。だけど、サガはどうしてオレをそんなに優遇してくれるのだろう。
「更に他のもの…うう…」
 悩んでいるオレの前でサガは相変わらず何が楽しいのかニコニコしている。そういえばサガがこんなに嬉しそうなのは珍しい気がする。
(この顔を見ていられるのなら、もう暫く悩んでいてもいいかな)
 サガを待たせながら、オレはそんな風に思った。
(−2008/12/1−)