スニオン神殿の足下で 海鳴りが響いて鳴り止まない。 躯の奥から共鳴するように唸り響くスニオン岬の潮騒は、 三叉の鉾の先端で旗めく深紅の帯飾に平伏し鼓舞するように 足元から地面を揺らして砕け散る ここは、海皇ポセイドンの聖地・・。 『女神への忠誠など聖闘士の誇りなど忘れてしまうがよい。』 海鳴りが大きく吠える。 『兄への思慕など血縁への情など断ち切ってしまうがよい。』 海風に潮を含んだ髪が大きく乱れ散っていく。 荒れ狂う海原の前では俺の思いなど、どれだけのものだと言うのだろう・・。 波に降り注ぐ雨粒の一つに過ぎないのではないのか? ならば! 断ち切る・・! 愚かな兄の面影など、俺は断ち切って見せる・・! そして、その名を呟くのはこの地で最後にしよう。 「・・・・サガ・・!」 海鳴りが響いて鳴りやまない。 この躯の深淵にまで鳴り響き、俺の細胞の隅々までを潮で洗っていく・・。 ここはスニオン岬。 全てを呑み込む、海皇ポセイドンの聖なる地・・。
ジェミニの聖闘士たちはまだ知らなかった
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お正月にLeuchtkäfer.ホタルさんが双子誕コラボのお誘いとともに、SSとギリシアの素敵なお写真(スニオン神殿とアテナ神殿)をお年玉としてお送り下さいましたので、それへイラスト+テキスト後半を追加させて頂き、双子誕企画「じぇみに☆T×T」様へ投稿させていただいたものです。楽しいお誘いを有難う御座いました!双子誕企画主催者様にも大感謝なのです。 |
Photo:Leuchtkäfer.Hotal / Picture:kinnosuke